二次 | ナノ


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2限目と3限目は変身術である。
私が一番楽しみにしていたの授業はこの変身術だ。
この魔法が予習した限りでは最も一番難しいのだ。
変身術で使われる魔法理論は、他の魔法のそれと比較しても際立って概念的なのである。非常に説明が難しいが、たぶんこれ、哲学とかに片足突っ込まないとイメージさえも掴めねぇ難解な理論の元に成り立っている。化学式的にものを変えるわけじゃ無いんだなー。

まぁ、簡単に言う事に挑戦してみるか。
まず、『もの』があるとする。例えばマッチ棒を針に変える魔法。このマッチ棒という存在は一体何なのかをまず考える手順が必要だ。つまりマッチというものを概念的に捉えなきゃならない。
次に、針について考える。それを掴めたら、マッチ棒に魔法をかける。『これはマッチ棒という存在ではなく、針という存在だ。』つまり、事物の存在の根源に干渉するのだ。これをその結果見えている『もの』がそれにあわせて存在を変える。
難解すぎる。

眉根に皺を寄せながらマッチ棒について考える。
考えるったってわからん。マッチ棒はマッチ棒じゃねえか。材料は木とリン。木は有機物で、リンは無機物。元素はリン。あ、だめだこりゃ。これじゃ化学式だ。
適当にマッチ棒が針になる映像を思い浮かべながら杖を振ってみても、マッチ棒の輪感が僅かにブレただけで形に変化は無い。
隣でセレマが一瞬で完璧な針に変えたのを見て、これが唯物論に囚われたマグルと超自然の世界で生きるやつの違いかと納得した。
思考回路的に私に魔法は向いてねぇな。いや、理系よりはマシだな。

マクゴナガル先生が黒板に書いた理論をもう一度読んでみると、プラトンのイデア論について書かれている。イデアというのはあるものをそのものたらしめ、そのものとしての性質を付与するものであるという。物の本質のことである。
この、目に見えない非物質的な本質を魔力によって捉え、魔法で別のイデアに変えれば、実在も自ずと形を変えるというのだ。

わかりやすく書いてはいるものの、これが理解出来てしまったら哲学者である。

結局のところ、感覚を掴むしかないのかな。

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