二次 | ナノ


▼ 15

その夜、グリフィンドールの談話室の片隅で、魔法の基礎概念について多角的視点から考察し理解を深める会、通称賢者のたまごの会、がひっそりと発足された。メンバーは私、ハーマイオニー、ハリー、セレマ、そしてなんとパーシー・ウィーズリーである。ちなみにリーダーはこの俺様。満場一致でこの俺様。

パーシー・ウィーズリーは、途中で私達の議論について来れなくなったロンが代わりにと寄越した。セレマ以外の魔法族出身がいなかったので非常にありがたい存在だ。

「いやー良かった良かった。パーシー先輩来てくれてあざっした!」

ハーマイオニーとパーシーのお陰でめでたくマッチ棒を針に変えられたので気分がいい。締めくくりの挨拶としてパーシーに手を差し出すと、逆にがっしと握られた。

「いや、こちらこそダリア、今日はありがとう。君の魔法への解釈はとても面白かった。ハリー、ハーマイオニーも、凄い勉強熱心だね。これからもなにかあったら声をかけてくれ。
セレマ、」

セレマは流石に近寄り難いのか、パーシーはセレマと握手しようとは思わないらしかった。
ぼけっとそれを見ていた私は、パーシーの放った言葉に驚くこととなる。

「セレマ、君の魔法理論は僕等のものじゃないね。やっぱり、君はあのクリスチャン・ローゼンクロイツと関わりがあるのかい?」

物凄く率直な質問だった。
思わずセレマに視線を滑らせると、彼女は曖昧に笑っていた。それを肯定ととったのか、パーシーは話を続けた。

「君の用いる魔法解釈は、ホグワーツで学べるものではない。けれどマグル生まれのものでもない。
マグル生まれの解釈はハリーやハーマイオニーのように想像力で補うものが多いし、稀有な例でも多分、ダリアのように哲学やマグルの使う"化け学問"を流用しようとするだろう。ダリアはその他にも変な考え方を入れているみたいだけど。
でも君のそれは、完全に魔術と超自然界の中で培われる感覚に基づいてる。」

熱を帯びた視線で食い入る様にパーシーはダリアを見ていた。私は固唾を呑んで、ハリーとハーマイオニーは混乱した表情でその展開を見守った。
セレマはやはり泰然とその視線を受け入れていたが、やがてそっとその薄い唇を開いた。

「私の魔法理論は、確かにホグワーツで教えられる、或いは学べる魔法解釈と異なります。ですが、薔薇十字団の教えるものとは違いますよ。」

曖昧に濁した言葉だったが、セレマがエルフとのハーフだと知っている私にとってはそれは嘘ではない。

「違うのか。やっぱり海外の魔法使いだからかな。多分、セレマの家はセイジに近い側なんだろうね」

割とあっさりとセレマがセイジ魔法族であることが露見したが、海外の魔法理論はウィザードのものと一致しないものもごく普通にあるそうなので、予想はされていたらしい。
そもそもローゼンクロイツという姓からしてもドイツ系である。なるほど、セレマは外国から来た魔法族だと思われたわけか。

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