二次 | ナノ


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ホグワーツの下級生は、プラマリースクールと同じように頻繁に授業の時間割が変わる。教授側の都合や授業の進捗状況に応じて授業時間が長くなったり短くなったり、入れ替わったり、しかも少人数の科目も存在していて、同じ寮生でも各個人で時間割は結構異なっている。日本の学校みたいに一週間全く同じスケジュール、クラス分け、授業時間、担当教員、ってわけじゃないのだ。
その為、朝食時に時間割を配られることになる。

授業は朝9時に始まる。1時限目に授業が無い生徒のために朝食が食えるのは9時までとなっているのだが、1時限目の教室によってはかなり早くに大広間を出る必要がある。
起床は6時で、朝食の始まる7時半くらいまでは寮で身支度を整えたりモーニングティーを飲んだり授業の用意をしたりする。寝てても構わない。ふくろうを出しに行ってもいいらしい。
早速ダーズリー夫妻に手紙を出した。ごく完結に、無事にホグワーツに着いたことの報告と、出発日の一件についての謝罪の為だ。ハリーも同じように手紙を出そうとしていたので、ヘドウィグに私の手紙もついでに運んでもらうことにした。
ちなみに朝食はフル・ブレックファーストのメニューが並んでいた。

平日は毎日午前に4コマ、午後に2コマの授業がある。一コマは一応45分だが、前後する場合の方が多い。そして授業の殆どが2コマセットになっている。
一番最初の授業は薬草学だった。授業内容は、薬草及びきのこの種類、栽培方法と利用法、稀に取り扱いの注意。城の裏手の温室の1号棟が教室だ。授業の説明を受けた後、ハンテンワライダケというごく栽培の簡単なきのこをおが屑と土と肥料の混ざった培地に接種する作業を延々熟さなければいけなかった。ハンテンワライダケは、気力回復薬或いは幻覚剤で汎用される効能を持つらしい。

次の授業は魔法史で、初っ端から萎えさせられた。くそつまらん。教科書を読んで、二言三言付け加えるという物凄く眠気を催す授業だった。教師のペースだけで進むこの授業はきっちり45分行われた。
世界で初めて魔法が確認されたのは紀元前7000年頃の黄河文明であることから、少なくとも最も古い文明時代から魔法族は存在していたことになる、という内容だった。

4限目は、原作でも映画版でも覚えの無い授業だった。魔法倫理というものだ。倫理学と言うよりは道徳の授業に近いものだが、これは私達が一年生だからだろう。教科書は無く、教授の挙げたトピックに対し生徒間でグループディスカッションをするという授業だった。

昼の休憩は12時20分からだが、4限目が無い奴のために昼食は12時から出され始める。魔法倫理のディスカッションが授業が終わってもハーマイオニーを筆頭とするマグル生まれとロンを筆頭とする魔法族生まれの間で続いているのを聞きながらぞろぞろと大広間へ入ると、少し早めに終わったらしく既に席についていたスリザリンの一年の中からドラコがやってきた。

「スリザリンの一年坊主が何の用だよ?」

目敏く近くにいたグリフィンドールの上級生が糾弾するような声を上げたが、ドラコは丸っきり無視してハリーの横に並んだ。

「やぁ、ハリー、ダリア。それにウィーズリーも。」

おまけでも君に挨拶されるとはおもってなかったよマルフォイ」

「どんな相手にでも挨拶はするのがマナーだと家では教わったのでね」

肩をすくめてロンが皮肉るも、ドラコも涼しい顔で軽く皮肉を返して受け流す。ほんのジョークだ。証拠に、ロンは鼻を鳴らしただけで口を噤んだ。麻雀コンビにしては考えていたより五月蠅くない。ドラコとつるむにあたって最大の障害がロンになると思ってたんだけどな。

「ドラコお前……生粋のスリザリン生がグリフィンドールのテーブルに座るか普通?」

「ホグワーツの学則の何処にも自分の寮のテーブル以外に座ってはいけないなんて書いてなかった」

ああそう。別に本人が構わないならそれでいいか。

ドラコはそのお貴族様スキルの一つである社交性の高さを遺憾なく発揮して、昼休みが終わる頃には周辺に座っていたグリフィンドール生の大半に受け入れられていた。
多分、早速シェパード・パイをローブに零したネビルに惜しげもなくシルクのハンカチを差し出し、気遣ってやっていたのが好印象だったのだろう。鼻につくであろう高慢な調子も慣れればユーモラスなキャラにしかならんだろうしね。

ついでに、ここがスコットランドということもあって昼食は夕食と同じくらいボリュームがあるものが並んでいた。

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