二次 | ナノ


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これはちょっと、いや、俄然興味湧いてきた。

「我等ってどういう事か聞いてもいいかな」

その質問にセレマはふと首を傾げる。どした。

「あなたは魔法族が二つに別れていることをご存知ないでしょうか?」

「聞いたことある気がする」

魔法史の教科書を後回しにしていたのが悪かったのかもしれない。
それはどうやら普通の魔法族には周知の事実であるらしいが。
自分がマグル生まれのマグル育ちであることを説明した上で『我ら』と彼女の差した者達についてを話してもらう。

イギリスの魔法使いには、古くから二種類の魔法族が存在しているらしい。片方はウィザードと呼ばれ、最初に組織を作って魔法族を統治しはじめた、ホグワーツに代表される魔法使いたちである。
もう片方はメイジと呼ばれる。メイジという名称自体は大陸から流入したものだとかで、彼ら自身はセイジ(賢者)と名乗っているらしい。
セイジはウィザードの作った魔法省の発行する法律がウィザード基準であることに反発し、セイジ専門の行政機関を打ち立てて独立を叫んだため、二つの魔法族は分裂状態にあるとの事だ。

「あ、それ魔法界のパンフレットで見たな。元々は森の木を切って家を作った魔法使いと、森をそのまま寝床にした魔法使いの違いであるだけなんだっけ?」

「我等は家を建てないわけではありませんよ。ただ、森の中を住処と定めてはいます。故に森に住むエルフとは親和性が高く、婚姻と混血が進んでおります。
元々ブリテン島に存在したのは我等の魔法であって、ウィザード達が使うのは大陸から齎されたものなのです。勿論大陸の魔法がどうという訳ではありません。エルフの方々もはるかな古代に大陸から来られたのですし、我々はその叡智に縋る事も少なくはないのですから。」

歴史が進むに連れて複雑化してはいるものの、取り敢えずもとはケルト系の魔法理論を使うのがセイジで、ゲルマン・ラテンの魔法理論を使うのがウィザードだったって事か。確かに呪文はラテン語に由来するものが多かったかも。

「魔法族がセイジとウィザードに別れて1000年程が経とうとしています。
我等やエルフの中で、セイジに関する夢を視たものたちが皆で私を遣わす事に決めたのです。」

最も魔法族の生活水準が高く魔法族の中心地となっているイギリスの、たった一つ存在するウィザードの為の公立魔法学校……ホグワーツへと。

そんなこと話しても良いのか?
ちょっと不安になったぞとセレマに視線を向けると、彼女の瞳が私を捕らえていた。

「どうか御心だけにお留め下さい…。未来は知るものにとっては必要ですが、知らぬ者にとっては毒以外の何物でもないのですから」

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