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少女はセレマと名乗り、私も…ダリアとだけ名乗った。
すっげー美少女……。
シルクだろうか、滑らかで光沢のある白いワンピースのような形のローブに、柔らかな木々を連想させる深い緑のストールを纏う。意匠は繊細。
端々に散りばめられた宝石細工も溶け込むように存在を控えめに煌めかせる。まるで……
そうだ、まるで……
「トールキンのエルフ……」
星の瞬く瞳が私の目を写した。
「あ、いや、失礼。余りにも、君がトールキンの描いた物語に出てくるエルフのイメージそのままだったから……いや、」
「彼は素晴らしい作家でした…。そして、我らが友人でした。」
知ってるんかい!
思わず心中では突っ込んでみたが、実際の私は息を飲んだ。
この世界ではトールキンと魔法族に繋がりがあったのか。無論、彼の存在のほうは調べ済みだ。
「彼の作り出す物語には、言葉には、魔力が込められています。
彼は魔法使いではありませんでしたが、並の魔法族よりもアニマ・ムンディに近付き、語る能力に長けていました。」
「知らなかったな」
「エルフや我等しか知りえませんよ」
魔法族の子らは気難しい者が多いようですから───ふふ、と笑うセレマは爆弾を私に投げた。
エルフいんのか。あと、我等とはどなた。
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