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話がずれた。
まあ、理論…魔法式については簡単な魔法から後でじっくり考えるとして。
問題は基礎にある魔法呪文の分類について。
まずは変身術。これら有機物・無機物を問わず魔力によって姿・形を変身(変形)させるもの。……質量保存の法則なんて物は、魔法族には無縁である。しかし、これ永久に続くものじゃないという括りがあるからこれはいい。
上位学問に錬金術がある。しかし錬金術には化学的に……まあ、分子レベルで考えるっていう思考が無いからか(基本だろうに)、個人の素養の差がデカいみたいだな。勿体ない。
これは永続的に対象の性質を変化させるもの、言ってしまえば根本的に変えてしまう魔法の事だ。
でも、あれ?金までならまだしも、賢者の石って元素がどうのこうのじゃ通じなくね?取り敢えず元素の電子や原子核に掛け合って強引に物質を変えるものをマグル式錬金術と呼ぶことにした。
次にハッキリしているのが闇の魔術。
これは法律によって分類がしっかりしている。まず、生体のみが対象となる攻撃呪文。それから生体に心身の危険性のある呪い。あと、生物の犠牲を必要とする魔法。その他魔法省が危険と判断した呪いだ。
そして妖精の魔法。ここからはもうだめだ。解らん。呪文学の中でも初歩的なレベルだと判断されたもの、としか。
しかもその次からは分類が無い。何故。
イギリスにある公立の魔法学校はホグワーツだけ、しかもそのホグワーツがイギリス最古の魔法学校なので、ホグワーツの授業分類が社会的に定着してしまっているらしい。訳が解らねぇよ。
そんなんで大丈夫か魔法界、魔法省。文部科学省みたいな機関はどうしたんだと突っ込みたい。
「魔法界ってさぁ…」
「うん?」
「適当過ぎじゃねーかなと私は思うよ。ふぁっくー……」
「激しく同意」
「………作るか。オリジナル分類。」
「いいね」
魔法研究者にでもなろうかとぼんやり考えた私とハリーの八月上旬だった。
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