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魔法基礎……とにかく、魔法を使う上で本当に基礎となる部分を学ぶとすると、一年生の指定された教科書の中で使えそうな物は基本呪文集と魔法論かな──と、見当をつける。その他は応用だ。基本理論が解らなければ変身術やら他の何かに分類されるような魔法なんぞ使えないだろ。
逸る気持ちを抑えて、先ずはその教科書二冊に取り組む事にした。
結果。
「なんかなぁ………」
「うん…」
まあ、いいんだけど。
魔法論の方は、何故杖を使うのかとか、理論的に魔法を組み上げたりとか。それは基本的に感覚でしか無いけれど、例えば要素だとか、術式論のような物にも触れていて結構腑に落ちる。
魔力の制御訓練だとか基礎的な事が序盤にかなり詳しく載っており、難しい魔法ほど基本に返って魔法理論を考えたほうが良いというのはよくわかった。
機械と同じように考えればイメージが掴みやすいだろうか。
決まった要素を決められた様に組み上げ(ここが機械の造りの部分)、そこに魔力を通す(一概に言えばエネルギー)。組み上げたものを形式化し、また言葉という音の要素を媒体にした補助が呪文だが、造りと発動する機能を理解していないと使えない。魔力を通すまでの理論‐形式化‐呪文の一連を魔法式と言うらしい。以外と頭も集中力も使う。
んで、感覚的にパッと出来りゃその呪文をマスターって事でいいと。
しかし、魔法理論は…新しい魔法については研究されているが、出来てしまっている魔法理論については全く追求されていないという。
無駄を省くとか、危険性を少なくするとか、そういうのは魔法理論を考え組み直す必要があるが、一つ出来ているならそれで良いじゃないか…というのがやはり魔法族の基本の考えのようだな。小型化軽量化を代表とする改良を重ねるのが基本のマグルとは根本的に違うらしい。
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