二次 | ナノ


▼ 28

二階の天井まで壁面の全てが杖の箱で埋まっている。その圧迫感が私の好奇心を擽る。それがオリバンダーの店に好印象を抱いた理由だった。
フローリッシュ・アンド・ブリッツもそうだが、棚にぎっしり本とかが詰まってる感じ、イイよね。

それにしても、と思う。杖は魔力を魔法に変換する媒体らしいのだが、他の媒体はほぼ開発されていないそうだ。必要ないと判断されたらしい。そういうとこ魔法族の向上心の無さが透けて嫌だなァと私は思う。
もっとマグルの開発精神を見習えよ。モノを書く道具でさえ何種類あると思ってるんだ。

先にハリーが杖を買ったので、オリバンダーさんのテンションは非常に高かった。

「これはどうですかな!」

ライヴオーク、ヒイラギと来て三本目に出されたのはイチジクの木から出来た杖である。

「芯にはドラゴンの心臓の琴線が使われております。12と1/2インチ、とても軽い、しなやかで強靭。気位が高く、我が強い。」

えっ何その性質は?
首を傾げながらもその杖を握った。

「うわっ」

吸いつくように手に馴染むという変な感覚がした。なのに、へその下の辺りがざわざわと落ち着かない気がして非常に気持ち悪い。妙な脱力感がする。
日頃ハリーにシャッキリしろと言っている手前、腹に力を入れて姿勢を保ち、精神統一の要領で気合いで杖を強く握り直した。
次の瞬間、もがくように杖が勝手に動こうとした。手の中で唐突に超常現象が起こるのは流石に驚いたが、取り落とすのもどうかと思ったので、全筋力を使って腕を固定した。
杖は元気をなくすように大人しくなった。

「……なに、いまの?」

うんともすんとも言わなくなってしまったのでしげしげと杖を眺めたが、さっきまでの事が嘘のようにそいつは澄まして手の中に収まったままだった。何度かペン回しの要領で弄んでも何も起こらない。

「暴発みたいな事も起こらないし、この杖でいいのかな」

楽しそうに私の一挙一動を観察していたオリバンダーさんはにっこりと頷いた。これが私の杖なのか。ハリーとは違って随分地味な選定だった。
ちなみに、値段もハリーの杖より1ガリオン安かった。材量の原価の差かね。



ダイアゴン横丁からからマグルの世界に戻った私達は、プリベット通りに戻るために駅で電車を待っている。
昼食に、とハグリッドがハンバーガーを奢ってくれた。それをもぐもぐやりながら、本屋で買った教科書の中身を考えていた。帰ったら早速開いてみようかな?予習は大切だと思うのだよね。

帰りの電車まではハグリッドは付き添わないという。ハグリッドは切符を二枚手渡て、そのまま消えた。おい待て。9と3/4線のホームの位置ぐらいちゃんと説明して行け。全く気の利かないひげもじゃである。
ところで映画のキングズ・クロス駅って外観は別の駅を使ったとか聞いたことあるけど、そこら辺どうなってるんだろう。

prev / next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -