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私とハリーのやり取りに若干驚き笑いつつのマルフォイがまぁ、と口を開いた。
「確かに、赤の方が君の髪は鮮やかに見えるだろうな」
社交センスの光る言い回しである。流石魔法界の貴族的ポジションのお家柄は教育が違った。
ダーズリー家はどちらかといえば成り上がりに近くて下賤な雰囲気は拭えていないのでね……。
「だろ!まぁ、ちとシックにいきたい時は緑とか黒だろうけど」
君は青も似合いそうだな、とマルフォイに然り気無く言っておく。青はレイブンクローのカラーだ。
体よりも頭という思考が丸見えの魔法族には、レイブンクローの話題は一番無難で失敗はしない。ちなみに魔法族が体よりも頭だ、と判断した理由は、武術とかの話を聞かないから。陰陽術なんかでもそうだが、東方じゃ大体体術とセットなんだけどねえ。
ホグワーツのカリキュラムでは、体を動かす授業は一年時の飛行訓練のみらしいし、推測は間違ってないだろう。
魔法界じゃケンカで負ける気はしないぜ。
「青か…」
「ドラコの髪の色には落ち着いた色彩の方が似合いそうだなと」
一番似合わねぇのは黄色だな、と放ると、素早くハリーが拾って投げた。
「安っぽい色は似合わない気がする。特に赤から黄緑。」
「安っぽい色って…どんな色だ?」
ファールもいいところ。さすがマルフォイのお坊っちゃんは格が違った。
安っぽい色に縁がない、と。φ(..)
「いかにも安そうに見える色って事だ」
「ああ」
ああ、といいつつそんなものあるのかよと言いたげだなドラコよ。
和気藹々と話している中、ドラコがふと外に立つハグリットに気が付いた。
「ほら、あれをごらんよ」
「お、ハグリットだ」
まず本人が意識しなくてもポロリと出るらしい嫌味な言葉は言う前に潰す。皮肉は嗜みですけれどもね、気心が知れてからそういうのはやろうぜ。
私の言葉に反応して、知ってるのかい?とドラコはこちらを向いた。多少驚いた顔をしている。
形容し難い顔で首肯をすると、お貴族様スキルの一つなのか何となく察した顔でドラコはハグリットにまた視線を向けた。
「保護者が来れなかったから、その代わりで案内してくれてるんだ。だけど……うーん、ちょっと無神経なんだ。
ホグワーツはあれにマグルの人混みの中を歩かせた訳だがどう思うドラコ。あの見た目だぞ。因みに私は他人の振りをした。ハリーは正直すまんかった」
「いいよ別に」
間髪入れない容赦は本当にどうでもいい証拠だ。
私の問い掛けに、ドラコは眉間に皺を寄せた。
「あれにマグルの振りを?」
「魔法使いってマグルから隠れてんだよね?なのにあの巨体って頭悪すぎだろ…」
電車の騒動はもう面倒くさ過ぎて話題に上げたくもない。
マグルとの関係保持についての法律とかあるのかな?よくわからん。よくわからん事多すぎだろ、と私は内心舌打ちをしまくった。あの本役立たねぇな。
「………おい」
「なにかね?」
「君達はマグル生まれなのか?」
「は?知らね。俺達は人間から生まれた人間で地球人でイギリス人だけど。その質問意味あんの?」
笑みを引っ込めて叩きつけるように言った。ドラコがあからさまに怯んだのは、驚いたからだけではないかもしれない。
「まぁ事実を述べれば私の両親はマグルだけどね。
言っとくけどな、魔法力の制御覚えないとなんないから、両親がマグルだとほぼ強制的に学校通わされるんだぞ、同情されて然るべきだと思うが。
私は魔法が使えても、魔法技能職に就職するかわ微妙だし、本当はマグルの学校に通いたかったんだぞ。」
勿論マグルの学校に行きたかったなどというのは事実無根のでっち上げなので、ハリーが呆れた顔を私に向けた。嘘も方便というだろ。そんな目で見るんじゃないよ。
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