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ハリーが先に制服を合わせる事になり、ドラコの隣の踏み台に立たされる。同じ年頃の二人組に親近感を感じたのか、マルフォイはざっと私達を上から下へ眺めてから、ちょっと怪訝な顔をしつつも話し掛けてきた。
「やぁ、君たちもホグワーツかい?」
「うん」
「そうだぜー。君、一年?」
「ああ、そうだよ」
気取った感じはするものの、それなりに友好的な口調ではあった。おっ、これはいける気がする。ここでこのお坊っちゃんを友人にしておけば、ホグワーツでの面倒事の三割はかっと出来るのではないだろうか。
「お、じゃあ友達一号は君だな!よろしくー!」
「え?え、ああ、よろしく……?」
強引に押し切るが吉。相手が子供なのをいいことに、捲し立ててなんだかよく分からないうちに友達になってしまえ戦法である。
「テンション低いね、いやダリアが高いだけかな?僕もテンション上がってきたけど」
相方も結構乗り気である。よーしペースは掴んだ。
「しかしなんか、君慣れてる感じだなー。もしかして名門一族?寮とか大体決まっちゃってる系?」
「あ、ああ。僕はマルフォイ家さ。寮はスリザリンだろうね」
「スリザリンか。蛇かっちょいいよなあ。私もこっちの相方も爬虫類好きでさ」
爬虫類館みたいなのって魔法界じゃあんま聞かねぇからさぁ、マグルのとこ行ってきたよ。
ぴくり、と反応したマルフォイに邪気無くにっと笑いかけ、そういや君名前は、と話題を転換させる。
「僕?僕はドラコ。ドラコ・マルフォイ」
「へぇ、ギリシャ語だかでドラゴンの意味だったよな!かっちょいいな!私達はまだ本物見たことないんだけど、たしかマグルの空想上のドラゴンと殆どおんなじなんだって?
ああ、そうだ。ここらのマグルはドラゴンを悪と見なす傾向が強いが、東洋の方じゃドラゴンは神の使いで神聖なもの、水を司る神だったりするし、そうだな、ドラゴンの眷属に蛇は位置しているとされているんだ。知ってたか?」
「…………い、いや。詳しいね。」
隣でハリーが弾丸トーク、と呟いた。喋るが勝ちである。
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