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暇だ。暇だわ本当。
銀行の手続きは、私は奨学金についての書類書いたらそれで終わり。学用品その他の経費として35ガリオンほど渡されて、その間にハリー達は地下トロッコに行ったから、待ち時間は恐ろしく暇である。
FFやりたい進めたい……PSP発売はよはよ(⊃ `・ω・)⊃バンバンスッゾコラー
「……ん?」
あれ。
今の、
ぼけっとロビーを眺めていたのも束の間。
視界に飛び込んできたその子供に、思わず音を立てて席を立ち上がった。
氷のように冷たく感じる程精巧に整った顔の、黒絹のような日本人。
心臓が跳ねた気がした。
少し前に見た夢が蘇る。どうしてあんなに、鉄音、に、似ている。
「……ッ!」
たまらず追い掛けたが、すぐに見失った。探しても見つからない。あんな見事な黒髪、目立つはずなのに、どうしてだろう?
諦めてグリンゴッツのロビーに戻る。他人の空似であるならは絶対に中身だけは似るなよと願いつつ、私はタイミング良く帰ってきたハリーの方に早足で向かった。
「お帰り。顔色悪いな。」
「トロッコがね……あれ、ダリアこそ、ちょっと顔色悪いよ」
そんなことないよ、とハリーには首を振った。意識はまだ、あの日本人が消えて行った扉の向こうのダイアゴン横丁だった。
トロッコ酔いしたハグリッドと一旦別行動して、入ったのはマダム・マルキンの洋装店。映画ではカットされてたので印象は薄いが、多分此処での出来事次第で幾つかのハプニングが解消出来んじゃなかろうか。ドラドラフォイフォイとか。
マダム・マルキンは藤色っぽいローブを着た太めの魔女でした。私のテンションは微妙に下がる。
「坊っちゃん方、ホグワーツなの?」
テンションは急上昇である。坊っちゃんだって。坊っちゃんだって!いぇあ!…心中でテンション上がりすぎたのがハリーには駄々漏れなのか、肘でつつかれた。正直すまんかった。
「そうでーす」
「全部ここで揃いますよ……もう一人お若い方が丈を合わせているところよ」
店の奥の方にマルフォイさんちのお坊っちゃんを発見した。おうおう、白いねぇ白いねぇ。
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