二次 | ナノ


▼ 22

ロンドン市内に入ってから、私はそっとハリー共と距離を取った。本当に微妙な距離だが、連れ合いとも他人とも言える距離を。
そもそも今回ハリーと歩くのは面倒くさい。
もっとも、今のハリーの格好じゃ原作通りに漏れ鍋にいる奴等がハリーと気付くかすら分からないけどさ。


と思ったがハグリットが即効でバラしてくれやがりました。
オチにもなりゃしねーよ。


壁際に貼り付いてハリーの握手会イベントは私だけ回避した。ハリー、そんな恨めしげな目で私を見ててもざまぁの言葉しか出ないぜ。
それか俺様のイケメン度に惚れるぞ、気を付けてなマイハニー?……ねーか。ねーな。ねーわ。
お陰で今年度末にオタッシャ重点なターバンの人と遭遇せずに済んだ。フラグクラッシュに全力である。


「さて、ハグリッド。まず金からですかね」

「そうじゃな。エー…と、此方だな。行くぞ」

ぐったりしたハリーがのろのろ歩くのでそれにあわせて進むダイアゴン横丁の一路。シャキっとしろ。サクサク行くぞサクサク。最近だらしねぇな、アァン?

当然の事ながら。
どう考えてもこの時代のイギリスに和柄でビジュアルちっくな装いという、珍妙な十歳前後の子供なんぞ居るわけがないし、ましてや此処は魔法界。普通のマグルの格好でさえ浮くわけでして。目立つね、目立ってるね私とハリー。
気にしないんだけどね。
寧ろ通りすがる中の可愛い女の子をハリーと評するのに忙しいっす。

「ハリー、あの子めっちゃ可愛くね?」

「……僕はその右の右の子の方が好みかなぁ」

「んー、結構活発な感じの見た目じゃん。睫毛長くて顔立ちハッキリしてて可愛いんじゃね。将来絶対美人になる有望株」

「ダリアが可愛いって言ったのはちょっと人形みたいな綺麗な子だったね。」

「ああいう繊細な造りの線の細い顔のが好きなんだよ」

「…ああ、だから女の子ばっかり口説く訳か。バイなのに女子しか興味ないって事は君のボキャブラリーに誤謬があるのかと」

「舐めんなよ、お前の知識の大半は私からだろうが」


「…………お前さんたち、何を話しとるんだ?」

あ、ハグリットの事すっかり忘れてた。
そんで銀行着いたなう。

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