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「行けばパパとママに迷惑がかかる処か、行かない方が迷惑がかかると思うよ。実際、この本によれば、同じ考えでホグワーツに通う非魔法族生まれの魔法使いは多いらしいし。
私の意志でいうなら、私はこの学校へ進学するべきだ。」
「僕も、ダリアと同じ考えです。持ってしまった力の使い方を知る必要があると思います。捨てることはできないでしょうから。」
ハリーと私が静かに言い放つ。
バーノン親父は何度か口をパクパクさせた後、風船の萎んだように小さくなった。
「よかろう。……よかろう。行け。魔法学校とやらに。」
その言葉を最後に、バーノン親父はフラフラと奥の部屋へ戻って行った。ペチュニアさんが慌ててそれを追い掛ける。
私は深く溜息を吐いた。
終わった。
私が知りうる限り、今年最大の障害は私の勝利で終わった。
ボロ小屋で一夜明け。
早朝のうちに家族全員+ハグリッドで家に帰ると、リビングの大量の手紙は嘘のように消えていた。どんなマジックを使ったんだ、って魔法ですよねー分かります。
バーノン親父はもう何も言わなかった。口数も少なく、ぼんやりとしていた。ただ、ハグリッドの姿をプリベット通りの人間に見られる事を極端に恐れ、家につくなり私とハリーをせかせかと居間まで押し込んだ。私とハリーが奥にいれば、ハグリッドも来るだろうと分かってるんだろうな。
「んで、何。今日その学用品を買いに行くのか」
「まぁ、そうじゃな」
「何処ら辺まで?あ、非魔法族にも分かる地名で言ってくれよ」
「ロンドンだ。」
ロンドンねぇ。
どうやって行くんだ。電車か?
何にせよ、
「腹減った。メシにしようぜ。」
「……わしらは寝る。」
バーノン親父が疲れ切った様子でリビングを出ていき、ペチュニアさんもやはりそれに続いた。
「ぉk、んじゃおやすみパパ、ママ。」
追いかける様にそう言って、キッチンに立つ。冷蔵庫の中身を手早く見て、朝食のメニューを考える。……塩鮭があるな。あとは…だし巻き卵でも作るか。
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