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「ミス・ダーズリー」
「はい」
呼びかけられて思わず返事をしてしまったのは、マクゴナガルがその語調を和らげたからだろうか。
「貴女はとても賢明ですね。そして、案内については明らかに我々の失敗でした。校長は魔法界の事についてはご両親が説明して下さると思っていたそうですが、やはり他のマグルの家庭と同じように、私が来るべきでした。」
ダーズリー夫婦を挑発してんのかダンブルドア。なにしてるんだ。
「しかし、きっと私が最初にいたところで、貴女は入学には同意しなかったでしょうね。その本は、校長先生がほんの先程貴女の疑問を受けてから作ったものですから。」
「わかりました。もういいです。私はハリーと案内を読むから誰も喋らないで」
今日中に答えを出さねばならないのだから、考えねばなるまい。
誰も集中力を途切ってくれるなよ。
「残念ですが、私は先に戻らねばなりません。本をよく読んでから入学を決めて貰って結構です。ハグリッド、後は頼みましたよ」
「はいですだ、先生」
ん、帰るのか。まぁ暇ではないだろうしな。
来たときと同じように煩い音を立てて消えたマクゴナガル。私は、途端に怒りに顔を赤くした夫妻を視界の隅に認めた。
ああ、これは爆発するな。3、21、
「ダリア!ハリー!!そのイカレた学校の案内書とやらを今すぐ棄てろ!バカバカしい、黙って聞いておれば、そんな学校になんぞ行かせるものか!」
「何故」
あ、ハリーが静かに爆発した。
「何故、貴方の価値観はそうも凝り固まっているのですか。
ダリアも言ったじゃないですか。魔法とは才能の一種で、魔法使いとは特殊技能に過ぎない。
大体、このイギリスでは魔法が半分公認されているようなものではないのですか?少なくとも、政府は魔術や呪いを本気で行おうとした歴史があるじゃないですか」
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