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カチリ。長身が12を指す音が静寂の中聞こえ、その次の瞬間には異常がやって来る。
ドーン、という、小屋中を震わす大きな衝撃音。私もハリーも思わず息を飲んだ。
「何?」
「さぁ……?」
臨戦態勢をとって扉を睨む。もう一度衝撃音がビリビリと響いた。
隣の部屋で何かをひっくり返す音が聞こえて、バーノン親父がライフルを手に飛び出した。日本じゃ見られない光景だ。散弾銃ktkr!
「誰だ、そこにいるのは!言っとくが、こっちには銃があるぞ!」
バーノンさんが上げた上擦った喚き声に、思わず顔を顰る。一瞬の空白の後、ドアが派手な音を立てて床に倒れた。
戸口から大男がログインしました。
まてお前、デカ過ぎるわそりゃ。ひくり、と頬が引き攣る。
窮屈そうに小屋へ入ってきた大男は、ドアをバチンと元の枠へ嵌め込んで、私含む愉快なダーズリー一家を見回して、言った。
「お茶でも入れてくれんかね?いやはや、ここまで来るのは骨だったぞ……」
……はあ?
この大男の正体は知っている私だが、今の言い草にはカチンと来た。お茶が入れられるなら私が飲んでるし、お前客でも何でもないだろ。
それに、ここまで来るのは骨だったって、誰も呼んでないぜ?勝手に追っかけて来といて、そりゃねえだろハグリッド。
心の奥底がすっと冷えた。
私の機嫌が急下降、そして底辺へ。残忍な気分で口の端を上げた私に、ハリーがびくっと肩を跳ねさせた。
魔法族の無意識にマグルを馬鹿にする態度、すっげえ気に食わないんだよねえ。
何も知らないハグリッドは私の方へやって来て、「少し空けてくれや」と宣う。
私は多分、そのとき笑っていた。凶悪な笑顔で、青筋位はこめかみに浮かんだかもしれない。とにかく苛立ちはそのままだった。
「床にでも座れば?お前、客じゃないんだから」
ソファに踏ん反り返って挑発する。
ハグリッドは気にした様子も無く、ハリーを見付けてぱっと笑い「オーッ、ハリーだ!」と言った。くっそムカつく奴ですね^^♯
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