二次 | ナノ


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ホグワーツもよくやるな、と私はピーナッツバターをトーストに塗りたくりながらも感心した。
今後の展開において私が取るべき行動は大体決まったから、後は気楽に構えても大丈夫な筈だと思う。全く楽なポジションだぜ。

大体、いろいろぐるぐる考えてはみたものの、ダンブルドアがハリー及び私を逃す筈は無いのだ。特にハリーは絶対逃しはしないだろう。なんたって英雄になる筈の駒だ。換えは効かないだろうし。
なぜ私もかといえば、私がホグワーツにいれば万が一ハリーが魔法界から逃げ出すかもしれないという可能性が無くなる。
どうせフィッグ婆さんを通して現状の把握はしている筈なのだ。

全くムカつくぜ。
あのホモ爺の掌の上で七年も踊る嵌めになるのだ。特にハリーは何度も死にかけるのだし。

今日は卵に手紙が入っていた。卵代返せよと思う。
噛み切ったトーストをもぐもぐしながら怒り狂うペチュニアさんの様子を観察している私を、ハリーは不満そうに見ていた。私が余裕ありまくりで一連の出来事を楽しく観戦しているので、最初の時以来初めて訝しまれているようだった。
なんだかんだで今まで私はハリーの味方にいたのだ。子供の如く我が儘に振る舞い続けながら。

だけど、今回は。

今回ばかりは、そしてこれからの未来も、私は私しか味方がいなくても構わない。
これは多分、帰巣本能のようなもの。

私はこれから、一歩間違えれば家族の顔を二度と拝めないような綱渡りをするのだ。落ちれば、家族の顔は消えるのだ。
おそらくホグワーツでの物語の先に、私の家への帰り道はある。どうしてわかるのかって、それがセオリーってやつだろ。

ホグワーツは一本の綱だ。元の世界へ戻るために渡らなきゃならない頼りない綱。
対してダーズリー家は、言わば先は見えないベルトコンベアー。行き先は何処だ?絶望ハンバーグ工場じゃあるまいな。
そして、既に綱渡りは始まっている。

それでも不思議と心は楽しげにざわついた。
さて、私はこんなにスリルを楽しむ人間だったかな?

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