二次 | ナノ


▼ 09

「ダリア?大丈夫?」

ぼーっとしてるよ、とハリーが私の肩を揺すった。何度か瞬きをして、手に持ったティーカップが冷えてしまった事に気付く。
ずっと頭の中に蟠るものがあった。それをどうしようかと考え込んで、結果今のように長い時間を茫洋と過ごす事が多くなってしまった。

もし、私に魔力があるとして。

ホグワーツに行くか行かないか。
そもそも魔法界とはどうなっているのか。ホグワーツ以外の魔法学校に行くという選択肢は。命の危険がある場所に赴くメリットは。
行かなかった場合ハリーはどうなる。いや、ハリーは今のダーズリー家を捨ててまでホグワーツに行きたいか。

このような考えが、私の頭の中を目まぐるしく駆け回る。もし行くとするならば、私はホグワーツでどのように過ごせばいいのか。いや、やはり行かないでも構わないのではないか。
ハリーと行く、ハリーだけ行く、二人共残る、さぁどれ。そんでダーズリー夫妻には何て言えばいいんだ。

これは起点だった。分岐点だった。今まで考えないようにしてきた事だ。
もし、私の選択肢にホグワーツへのルートがあったら、どうすればいいのか。いや、何をしなきゃならないかなんてもう分かっている。気持ち悪い程お膳立てされた、出来の悪い妄想みたいなストーリーに、乗っからなきゃならないのだ。


そして、手紙はやって来る。


その頃には、私は名門と呼ばれる私立女学校への進学が決められていた。叔母にあたるマージさんが卒業した学校だ。進学就職には向いていない淑女『製造』学校であるそこへ進学するなど、正直に言って反吐が出る。
ダーズリー夫婦的にはは武術やら男装やらに突き進む娘を止めようとしての事らしいが、私自身は娘じゃねぇしそんな事は知らん。自らの運命を呪えよ。

prev / next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -