二次 | ナノ


▼ 06

確かにガラスは消えなかったけどさ、

「いいとこのお坊ちゃんか、お前ら。」

Q.この状況はどういう事だってばよ?
A.物陰にて柄の悪すぎる野郎共に取り囲まれてます。ピンチなう。

しかし、いいとこのお坊ちゃんって。私も?私もなの?いよっしゃー中性顔バンザイって喜んでる場合じゃNEEEEEE!
ガキ三人で囲まれて、じゃ年の差で勝てなくなくなくない?うん、無理ゲーだな。ペチュニアさん達もちと距離が遠いは。

「ちょっとお金貸してくれねぇか?」

「悪いけど持ってない。」

「お前ら何かに貸すかよ!」

ちょ、おま!余計な事言ってんなピアーズ・ポルキス(10)ぅうう!!
私とハリーがじりじり警戒しているにも関わらず、ピアーズはあっさりと相手を挑発した。
こ、の、馬鹿がッ余計な事するなよぉ!これはケジメ案件ですわ。

私とハリーが動くのは早かった。伸ばされた腕を取って捻り、相手の体制を崩して投げる。投げたら間接を決める。折れはしないけど筋は痛めている筈だ。
もやし体型二人のガキが強かったからか、取り囲んでいる奴らは一瞬怯む。だがすぐに隣でバキ、という音が聞こえた。ピアーズが殴られた音だった。
捕まったピアーズを盾に下卑た笑いを浮かべて、そいつらは金、と一言。クソ、ピアーズお前足引っ張るしか脳が無いのかコノヤロー。

「持ってない、と言ったよ。」

「ああ?」

「馬鹿が。このガキ殴ってりゃ脅えて出すだろ、金」

……ビギ、と自分の額に青筋が浮くのを感じた。殴ってりゃ、だぁ?ふざけろ私の前でガキ殴る事は則ち死刑だっつの!!
有言実行と言わんばかりにピアーズに向かって上げられた手に、その時私は確かにキレた。


その直後、館内はガラスの割れる音と悲鳴に包まれた。


一瞬で冷める脳。

動揺したクソ野郎共に構わず、ピアーズを引ったくって走り出す。ハリーも直ぐについて来た。

「ダリア、何が起こってる?!」

「知るか!親連れて直ぐに出るぞ」

先程まで見ていた毒蛇や鰐が脳裏を掠める。私の予想通り、館内のガラス全てが砕けていたとしたら──危ないどころの話じゃない。

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