▼ 03
階段を下りているとペチュニアさんが迎えに来た。
「おはよう、ママ」
「おはようダリアちゃん。お誕生日おめでとう。
エー…今日も、可愛いわね。…お、お洒落だわ」
顔引き攣ってるよペチュニアさん。
バーノン親父はともかくとして、ペチュニアさんは私の格好に対してかなり戸惑っていた。自分でもかなりふざけた格好だと思う。チャラいし、和柄は厳ついし。何より男物である。時代が来いの状態である。
「似合うでしょう?」
「ええ、とっても」
ただし今言ったとおり、よーく似合っているのだ、この格好。
こんだけイケメン美形だったら世のおにゃのこはもれなく俺様のもゲフンゲフン…失敬、取り乱した。
とりあえず、イケメンに育つという目標はきちんと遂行されている。
ペチュニアさんとキッチンに入ると、黒いシックなエプロンを着けたハリーが卵を焼いていた。マーガリン少なめ。
ここの家はメシマズ大国イギリスに反してそれなりにメシウマである。特にハリー少年は、ペチュニアさんの指導のもと私の好みに合わせて料理を作るスキルを身に着けたので、非常にありがたい存在と化している。
「おはよう、ハリー。」
「おはようダリア。誕生日おめでとう」
「ああどーも。雑用駆り出されご苦労。お前の料理が一番私の好みに合ってて美味いからな。あざーす。ママもありがとう」
笑いながらリビングにいけば、誕プレで出来た山が私を迎えた。山がりリビングの半分を埋めていようと、もう驚きも無い。こんな光景は既に何度か経験済みだ。
「おはようダリア。今日で11歳だな。おめでとう。」
「おはようパパ。ありがとう。」
リビングのソファーでコーヒを片手に新聞を広げるバーノン親父に挨拶を返して、何があるかな、と早速山を物色してみる。
テレビ、自転車……な、何!これはパソコンじゃないか。何故パソコンが……しかし古い型だ。いや、今は最新かもしれない。
それから……これはゲームボーイじゃないか懐かしい。それにスーファミまで!半年前に泣く泣く諦めたスーファミがあるのはなかなか感動ものだ。
これはドラクエVとドラクエW、こっちはFFUとVか。Wがあと一ヶ月もすれば発売されるのに……。
……………バーノン親父には見せられたもんじゃないラインナップのゲームたちである。
心の中でこっそりと、これを贈ってくれた人達に感謝しておいた。バーノン親父に上手いこと言っておいてやるからな。
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