二次 | ナノ


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この世界に来てから二回目のクリスマスでは、ハリーがテーブルに着くことを許された。参加許可が出たのは、ホントにあのハリー・ポッターなのか疑わしくなるレベルで魔法の欠片も匂わせないまま一年以上を過ごしたからか。

「メリークリスマス、ダリア」

「おお、メリクリ」

武術を習い始め、精神鍛錬をするようになってからというもの、ハリーの情緒は頗る安定的なものだ。安定しすぎて最近は表情さえも落ち着いている。
たしか、原作では感情の起伏に合わせて魔力暴走を引き起こしていたのだったか……喜んだり落ち込んだりしてはいるものの、持て余すほどの怒りを抱く事は無かったらしい。

そんな事よりダイエットの進捗状況だが、とうとう体重が肥満からやや肥満の数値へ収まり始めた。YES!! 135.2cm39.4kgが本日のスコア。40kg切ったぞおおお!脂肪燃焼が熱い展開だな。



ハリーと通い始めた武術教室(最近の通称は道場)には同じ様な年頃の子が多く通っているので、私もハリーも近頃は友好関係がそちらに傾いている。
学校関係の子はハリーとダリアの虐め関係がまだ尾を引いている節があるし、近所の子もまたダーズリー一家の虐待関係が完全には払拭出来てないので、それらの煩わしさが無い道場ではハリーの扱いに神経質にならずに済むのだ。ハリーもまた同様で、のびのびとした表情で稽古をしているようだった。

師範(私が知り合ったヤマトナデシコのお母上様)の指導は優しくはないが、段階をきっちりと踏んでいく事を重視しているので、受ける側のステップアップも捗っている。
年齢を鑑みてか型や技術よりも精神鍛錬や体力づくりに重点を置いているため、軟弱な子供には苦痛かもしれない。それ故にか、通い続けている子供は私含め、変わり者ばかりである。

「ありがとうございました!くーっ、終わった終わった」

稽古が終了した後は、親達が迎えに来るまで遊んでいるのが習慣となっている。最初は鬼ごっこだったり、まぁ所謂子供の室外遊びが主だったが、途中から師範代(私が仲良くなったジャパニーズのお姉さん)がかるたや紙芝居を持ってきて遊んでくれるので、ちょっとした日本文化教室になりつつあるが。

「師範代、今日は何するんですか」

「今日はねー、日本語でもやろうかと思って」

「ほんと?おれたちはやくもバイリンガルなっちゃう?」

「うわっ、いきなりジャンプするなよティ厶」

興奮のあまりぴこぴこ飛び跳ねる六歳男児、ティ厶ことティモシーを宥めてから、師範代の持つ懐かしさを感じるひらがな五十音表を覗き込んだ。書写の手本みたいなひらがなが並んでいた。


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