二次 | ナノ


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「もうすぐ春ですねぇ」

「そうだね」

「風と踊ってみませんか」

「は?」

桜が見れず残念な春である。春来たって感じしねえ。風流を愛でたい。
さて、もうすぐイースターである。春休みに相当する休暇である。クリスマス休暇から三ヶ月、日本人の習慣で寝正月気味だったので、今回の体重の減りも2kgほどである。だが身長が134.5まで伸びていたのでよしとした。ん?流れ変わったな。
134.5cm43kgはまだまだ肥満児の域ではあるが、首が出来てきたのでだいぶ人間に近いフォームになったのではあるまいか。
最近はハリーを伴ったウォーキングと筋トレ(軽いエクササイズレベルだ)が趣味になりつつある。

「話は唐突だがねハリー。この前、町中に住むジャパニーズのお姉さんと仲良くなったんだ。」

「へぇ」

「ヤマトナデシコだったぞ。マジ好み」

ロングの黒髪がサラサラしていた。モエス!

「んでね、そのお姉さんのお母上が日本の総合格闘技ってか古武術?の師範なんだってさ。今度教室を開くそうだ。私は行くけど、お前、どうする?」

行きたいか?
ハリー少年は目に見えて狼狽える。あーこれ自己決定が許されてなかった事の弊害か。自分に決定権が無いと思ってんだな。将来大変なことになるだろうな。児童虐待者滅べばいいのに。

「どうするって……バーノンおじさんが許す筈ないよ」

「ていっ」

予想していた台詞が出てきたので、ハリーの頭にチョップを落とした。ゴスッ!という音がして、ハリーが頭を抱える。

「お前馬鹿なのハリー。行くか行かないかと聞いたんだよ。それ以外に答えは要らないから。」

「でも……」

「でもじゃねえの。私を誰だと思っていやがる。うちの親共が私を甘やかしてるシーンは頭を素通りして耳から抜けてんのかお前?」

親達の中ではハリーの事なんて二の次である。私がハリーをどうこうしたいと言えば、娘の希望を叶えることが優先されるらしいのはもう分かり切ったことだ。

しかも私は親達がスポーツを摩訶不思議な魔法とかの対極に位置していると考えているのを知っている。ま、魔法使いってヒョロもやしのイメージばっかだしな。

「お前が私と一緒の事をしたいなら、親なんていくらでも言いくるめてやる。
どうせ金は有り余ってんのさ、あんなんでも社長だから。」

「……僕、は…」

「つか、お前に武術出来て貰わないと困るんだわ。女の子にコンビでモテる為にも。」

「やっぱりそれが目的か!!」

むしろそれしかねーよ。
私の目的は、ハリーと私でイケメンコンビ結成して女の子にモテる事である。くだらなくない。女の子可愛いよ。

という訳で、ハリーと一緒に日本武道することになった。いぇーい。

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