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「ベル先輩、今日の髪型素敵ですね。あ、おはようパーパティ。紅茶あるぜ、飲むか?ラベンダー、タイが曲がってる。………ほら、これで完璧だよ、レディ……ハーマイオニー!待っていたんだ、おはよう。」
朝から談話室に居る女子達に挨拶して回っていると、ハーマイオニーが何処かまだ眠そうに降りてくる。覚束ない足取りの彼女の手を取り、取っておいた席へとエスコートする。バーノン親父がマナーも気にする社長様で助かったぜ。ハリーと教科書が共有できたから、女でありながらレディのエスコートも試せるし……あともう少しゆっくり歩いた方が優雅かもしれない。
男性諸君が、えー……という顔で私を見ていたが、何、俺様そんな様になってんの?ウケる。お前らイギリス人男子だろ紳士になれよ。イタリア人になれって言ってる訳じゃないんだぞ。
ハーマイオニーの広がる髪を霧吹きを使って落ち着かせながら梳る。霧吹きに入っているのは流さないリンスである。電源の入りもしないヘアアイロンを炎熱魔法で温めて丁寧にかけてやれば、衝撃の四巻ハー子の完成である。
「綺麗だよ、ハーマイオニー」
「いつもありがとう、ダリア。」
照れてテンパる彼女は外見を褒められ慣れてないらしい。男共本当に目ぇ腐り落ちてんじゃねえの!?
「ハーマイオニーだけズルいなぁ」
ローズが唇を尖らせた。おいやめろ誘惑するな。仕方ないので手に持っていた櫛を変身術で髪飾りに替えてやった。
元々のデザインが女の子に使ってあげる用なので可愛いやつだったが、髪飾りにしてもそれが上手いこと生かせられて、私は満足である。
「ほら、一日しか保たないけど。ヘソ曲げんなよローズ」
「ダリアって、本当に女なの?はぁ。世の中って理不尽だわ。私、ダリアほどスマートなイケメン知らないわ」
「そう思ってもらえれば光栄だな。私が本当に男だったら、本当にローズを大事にするのに」
可愛い女の子多くて、上手いこと好かれる事も出来て、私とても幸せです!あーやべ、ムラっとくるね。性転換薬開発するべきか、四年後くらいのために。
「……ねえハリー。君のイトコ、女子にモテて楽しいのかな」
「多分ね。少なくとも、ダリアは嘘は言ってない」
「へぇー。んじゃ、本気の本気であの口説き文句がスラスラ出てくるって訳だ。おっどろき」
おい、ロン、丸聞こえだぞ。魔力を指先に集めてほんの小さな塊にし、消しゴムの弾力と重さを与えてぶん投げた。額に命中。
「アイタッ」
「ナイスコントロールダリア」
無表情のハリーの称賛に、ニヤッと笑って返しておいた。
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