二次 | ナノ


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さて、この賢者のたまごの会は、次の週末にはメンバーが増えていた。加わったのは勿論俺等のアイドル、ドラコちゃんである。

「随分インテリ集団になったもんだな」

空き教室に飲み物と茶菓子を持ち込んで、今日も今日とて魔法についての議論を行う。
集まったのはハリー、ハーマイオニー、ドラコ、セレマで、私含め顔面偏差値くっそ高ぇ特にセレマ。どー見ても天上の麗しさです。つーかドラコ度胸あるな、一人でグリフィンドール集団と行動できるなんて。人の事言えた義理じゃねえか。ねえな。ねえわ。

レモンティーを啜りながら、では始めよう、と切り替えの合図を出す。今日の議題は闇の魔術について。
これに関してはドラコが詳しく知っている。

「家にあって、僕が自由にしていい本を今日持ってきた。ふくろうで送ってくれた僕の母上に感謝するがいい」

「ドラコ様々じゃんサンキュー。あとミセス・マルフォイまじ女神様。って、うお、これプレミアものじゃね?」

「そうらしい」

興味も無さ気にドラコは相槌を打った。お坊っちゃんは流石に高級品に執着の無ぇ事。

「読んでもいかな?」

闇の魔術に興味のあるらしいハリーが性急にドラコに声をかける。ドラコはどうぞとばかりに机の上に本を置いた。
黒いビロードの表紙の本だった。銀一色で装飾されている。題は"夜と星の、、、"…途中から銀が剥がれていて読めない。恐らく入門書に当たるものの癖に非常に禍々しい魔力が込められている気がするのだが、大丈夫だろうか?

「確かに闇の魔術に関する書物なんだが、内容は僕が好きにしていい時点で察してから読んでほしいね」

ハリーがその本に手を掛けると、ドラコがフンと鼻を鳴らして言った。実家にどうしても見せたかった本が有るが、それは父上が許可しなかったとのこと。いやこれで十分だぜ。セレマが本をじっと見ているが、何も言い出さないので私も黙って見ておく。
ハリーはドラコに頷いて、表紙を捲った。

「読むよ。……お前達はそれらの名を口にしてはならない。しかし知らねばならない。その、白痴の神が確かに宙の何処かで悪夢に耽るのを。」

ちょっとまてそれどこかで聞いたことある。

「待って下さい」

思わず止めようかとしたところで、セレマが先んじた。彼女の顔ばせに微笑み以外のものが混ざるのを初めて見た。
そして、セレマが止めたという事は、きっと私の予想は当たりまくってるらしい。

「そういうものを口に出して読むのはあまり良くはないでしょう」

「でも、一度読まないと本の内容について議論できないわ」

「いや、ハーマイオニー。セレマの忠告に従おう。」

「どうして、ダリア」

顔に不服と書いたハリーが首を傾げる。三人が戸惑っているが、これは多分絶対やばいので譲れない。
なんたって読んだらSAN値チェックが絶対に待っている類のそれだ。

「私はそれを知っている。つまり、マグルの中に伝わるほど力のある"闇の魔術"だ。今の私達じゃあ扱えないだろ。」

「でも、読んだ限りじゃただのおとぎ話としか思えないものが大半だったぞ?何も危険なものなんて無い」

「ドラコ、それを貴方は何処で読んでいましたか?」

「家の書斎の中だが……」

「恐らく結界が張ってあるでしょう。決まりですね。ダリアが知っているというのであれば、それは今回扱うには危険すぎます。」

預かります、といってセレマがそれを自前の真白なショールに包むのを見届けて、いつの間にか詰めていた息を吐いた。
それはある神話だ。それも狂気と死に満ちたやつ。やべぇ魔導書手に入れちまったなァ。

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