二次 | ナノ


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存在を考えるなんてぶっ飛んで難解な思考ゲームから解放された私は、セレマと同じくマッチ棒を針に完璧に変えるという所業を成し遂げたハーマイオニーに注目せざるを得なかった。ちょっとどころではない美人さんだが、全く反応しないホグワーツの男共は目ぇついてんのかってか寧ろアレ生えてんのか。不能か?………流石に下品だったか。
兎に角、マグル生まれでありながら変身術の素養が人一倍あるかもしれないハーマイオニーと俄然変身術への理解を話し合いたいので、賑やかな大広間で一人昼食を詰め込む彼女の肩を叩いた。

「隣いいかな?君の目の前にあるサラダが食べたいんだけど、他はもうあまり残ってなくて」

「ええ、どうぞ。………あら」

答えてから私の顔を確認したらしいハーマイオニーは、少々驚いた表情で私を見上げる。

「?なにか?」

「ハリー・ポッターのイトコさんね?」

「ああ、そうだよ。ダリア・ダーズリーだ。よろしく」

「私はハーマイオニー・グレンジャーよ。よろしくね」

溌剌とした声でキビキビ答える様子は彼女の整った容姿に似合っている、と内心で褒めておく。
さっさと隣に腰掛けて、口実にしたサラダを数口食べてから、ところで、とハーマイオニーに切り出した。本題だ。

「さっきの変身術、成功してたよな、ハーマイオニー」

「え?ええ、やっぱり難しかったけど、事前に練習しておいたから、上手く行ったわ」

「私も事前に教科書を読み込んでたんだけど、基礎理論が上手く理解できなくて、難しく考え過ぎてだと思うけど上手く行かないんだ。」

「それってもしかして、あの第一章の変身魔法概論に書いてあることかしら?」

そうそうそれそれ、と頷くと、ハーマイオニーも少々困ったような顔をして、私も、と言った。

「私もあの理論じゃわからなかったわ。どうしても理解できなかったから、諦めて、フローリッシュ・アンド・ブロッツで変身術の入門書を幾つか見てみたの。マグル生まれでも分かりやすいよう、哲学的な概念を用いない簡略基礎理論があったから、それを買ったわ」

「凄いな。私の家はロンドンとは近くないから、探しに行けなかったんだ。夏休み中は魔力コントロールの練習しかなかったし」

「そうなの。私は魔力コントロールも少しやったけど、どうしても魔法が使ってみたかったから、簡単な魔法を成功させるための練習に夏休みを使ったの。
ええと、その変身術の本、寮に置いてあるわよ」

「ほんと?よければ見せてほしいな」

「ええ、いいわ。今夜談話室で一緒に見ましょう。
あ、ねぇ、幾つかの魔法の基礎理論について話したいわ。どう?」

まさかのランデブーのお誘いが先にハーマイオニーから来た。実に楽しそうに喋るな、この子は。そしてその申し出は願ってもない話だ。

「是非とも。ハリーと、友達のセレマも呼んでいい?セレマは魔法族だから有意義かもよ」

「勿論いいわ」

ハーマイオニーはにこりと笑った。あ、確かに前歯が少し大きいな。



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