二次 | ナノ


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「アー………ハリー・ポッター」

「はい先生」

戸惑いを隠さないままハリーに呼びかけたスネイプにこみ上げる笑いをなんとかしてくれ。
スネイプの戸惑いといったら、もう、凄いもんだった。まずハリーの表情に引き、その左に座る私に眉を顰め、右側に座るロンとさらにその隣に座ったグリフィンドールのど真ん中を陣取るドラコに何とも言えない顔をし、その前に座るセレマの微笑をみて驚いた顔をした。

「………エー………我輩は君がいかに………アー、有名であろうとも、評価に関してアンフェアに………アンフェアにするつもりは無い」

「勿論です先生。寮監の先生は寮生を贔屓する事もあると伺いましたが、絶対にそんな事をしないと僕達に宣言してくれるとは、不安で一杯な僕達に対するお心遣いに僕はとても嬉しく思います」

「…………勿論だとも。」

スネイプ先生は大変にペースが掴みにくそうだった。顔が引き攣ってるぞ魔法使い(童貞)

「アー、それで、君は……つまり、予習をしてきたかね?」

「勿論です先生。教科書の半分までを数回読んできました」

「……そうか。では、エー………授業に励むように。アー、Mr.マルフォイとMr.ウィーズリー、喧嘩なら廊下でするが良い」

「「喧嘩などしてません先生」」

机の下で小突きあっていた二人が声を揃えて反論した事に、スネイプはとうとう頭を抱えて黙り込んだのだった。あー面白い。



ハリーが一番楽しみにしていたのは魔法薬学だが、私が一番楽しみにしていたのは変身術だ。つーかこの魔法が普通に一番難しい。
この魔法は、実はとっても概念的なのだ。非常に説明が難しいが、たぶんこれ、哲学とかに片足突っ込まないとイメージさえも掴めねぇ難解な理論の元に成り立っている。化学式的に変えるわけじゃ無いんだなー。

まぁ、簡単に言う事に挑戦してみるか。
まず、『もの』があるとする。例えばマッチ棒を針に変える魔法。このマッチ棒という存在は一体何なのかをまず考える手順が必要だ。つまりマッチというものを概念的に捉えなきゃならない。次に、針について考える。それを掴めたら、マッチ棒に魔法をかける。『これはマッチ棒という存在ではなく、針という存在だ。』つまり、事物の存在の根源に干渉するのだ。その結果見えている『もの』がそれにあわせて存在を変える。
難解すぎる。

眉根に皺を寄せながらマッチ棒について考える。考えるったってわからん。マッチ棒はマッチ棒じゃねえか。材料は木とリン。木は有機物で、リンは無機物。元素はリン。あ、だめだこりゃ。これじゃ化学式だ。
適当にマッチ棒が針になる映像を思い浮かべながら杖を振ってみても、中途半端に変化するだけで上手く行くはずもなく。
隣でセレマが一瞬で完璧な針に変えたのを見て、これが唯物論に囚われたマグルと超自然の世界で生きるやつの違いかと納得した。
思考回路的に私に魔法は向いてねぇな。いや、理系よりはマシだな。
なんにせよ、こんなのプラトンやアリストテレスじゃねえと真に使いこなせるわけがない。

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