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私のローブの裾あげのピンが打ち終わる辺りで、和気藹々と話していたドラコがふと外に立つハグリットに気が付いた。
「ほら、あれをごらんよ」
「お、ハグリットだ」
まず本人が意識しなくてもポロリと出るらしい嫌味な言葉は言う前に潰す。
私がハグリットだと呟くと、知ってるのかい?とドラコはこちらを向いた。多少驚いた顔をしている。
ハリーが形容し難い顔で首肯をすると、お貴族様スキルの一つか何となく解った顔でドラコはハグリットにまた視線を向けた。
「善人なんだろうが、日本人と比べるとかなり無神経だな。多少は目をつぶって付き合いを持った方がいいかもしれない。
ホグワーツはあれにマグルの人混みの中を歩かせた訳だがどう思うドラコ。因みに私は他人の振りをした。ハリーは正直すまんかった」
「いいよ別に」
間髪入れない容赦は本当にどうでもいい証拠だ。
私の問い掛けに、ドラコは眉間に皺を寄せた。
「あれにマグルの振りを?」
「魔法使いってマグルから隠れてんだよね?なのにあの巨体って頭悪すぎだろ…」
電車の騒動はもう面倒くさ過ぎて話題に上げたくもない。
マグルとの関係保持についての法律とかあるのかな?よくわからん。
よくわからん事多すぎだろ、と私は内心舌打ちをしまくった。
「………おい」
「なにかね?」
「君達はマグル生まれか?」
「は?知らね。俺達は人間から生まれた人間で地球人でイギリス人でいいだろ。その質問意味あんの?
魔法力の制御覚えねーとなんないから、両親がマグルだとほぼ強制的に学校通わされるんだぞ、同情されて然るべきだと思うが。
私は魔法が使えても、魔法技能職に就職する気は一切無いからマグルの学校に通いたかったんだ」
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