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漏れ鍋に入る前から、私はそっとハリー共と距離を取った。本当に微妙な距離だが、連れ合いとも他人とも言える距離を。
そもそも今回ハリーと歩くのは少々面倒くさい。
もっとも、今のハリーの格好じゃ原作通りに漏れ鍋にいる奴等がハリーと気付くかすら分からないけどさ。
と思ったがハグリットが即効でバラしてくれやがりました。
オチにもなりゃしねーよ。
壁際に貼り付いてハリーの握手会イベントは私だけ回避した。ハリー、そんな恨めしげな目で私を見ててもざまぁの言葉しか出ないぜ。
それか俺様のイケメン度に惚れるぞ、気を付けてなマイハニー?………ねーか。ねーな。ねーわ。
「さて、ハグリット。まず金からですかね」
「そうじゃな。エー…と、此方だな。行くぞ」
ぐったりしたハリーがのろのろ歩くのでそれにあわせて進むダイアゴン横丁の一路。
当然の事ながら。
絶対にこの時代のイギリスに和柄の白人なんぞそうそう居るわけがないし、ましてや此処は魔法界。 目立つね、目立ってるね私とハリー。
「ハリー、あの子可愛くね?」
「……僕はその右の右の子の方が好みかなぁ…」
「んー、結構活発な感じの見た目じゃん。睫毛長くて顔立ちハッキリしてて可愛いんじゃね。将来絶対美人になる有望株」
「ダリアが可愛いって言ったのはちょっと人形みたいな綺麗な子だったね。」
「ああいう繊細な造りの線の細い顔のが好きなんだよ」
「…ああ、だから女の子ばっかり口説く訳か。バイなのに女子しか興味ないって事は君のボキャブラリーに誤謬があるのかと」
「舐めんなよ、お前の知識の大半は俺からだろうが」
「…………お前さんたち、何を話しとるんだ?」
あ、ハグリットの事すっかり忘れてた。
そんで銀行着いたなう。
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