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高校受験をした私にとって、このホグワーツからのハリーへの迎えはとんでもないもの過ぎた。
今私が聞いた事は、原作じゃ分からないリアルな話。
魔法使いというのが人種なのか職業なのかもはっきりしないまま、そんな所いけるかっての。
ハグリッドは一つも答えられずに、返答に窮していた。
私が苛々と溜息を吐く。
どうしようもないな、これは。
こんなんじゃ私はホグワーツに行きたくもないし、ハリーをやりたくも無い。二人でストーンウォールに通う方がマシだな……
そこまで、考えた時だった。
バシッという鋭い音が私の思考を遮った。
全員、マジビビった。
「こんばんは、良い夜じゃのう」
マジか。マジでなのか。
私がグダグダ突っ込んだからか?ここに────ここに、ダンブルドアがいるのは。
あ、やべ。平常心平常心。
万が一にも開心術なんぞ使われたら終わりなので、呼吸を保ち冷静になる。日本武術で培った精神統一技術なめんなよ。
「……どちら様ですか?」
最初に聞いたのはハリーだった。
ダンブルドアの瞳が嬉しそうにきらきら光り、ハリーと私を写す。
「ほっほっほ。ハリー、君の質問にはこの本が答えてくれるじゃろう。
ミスター・ダーズリーにミセス・ダーズリー、あなた方の御息女はとても聡明なようですのぅ。何ともはや、わしらは学校への入学案内を見直さねばならないようじゃ。」
お茶目な笑い方をしながらダンブルドアはハリーと、それから私に一冊の真新しい本を差し出した。
ビロードの表紙にはホグワーツ入学案内と記されていて、中をぱらぱらと開くと私の知るパンフレットよりは少し堅苦しい表現で学校についてが書かれている。
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