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無視かいい度胸だこの……
「そんで、お前さんがダリア・ダーズリーかね?」
……無視じゃなくてスルーだったか。苛々しながらそうだが何かと憎まれ口を叩く。
ハグリッドはあまり興味なさ気にそうか、と言ってハリーにまた向き直った。別にいいけど、私の(手塩に掛けて育てた)ハリーに馴れ馴れし過ぎじゃね?
「なにはともあれ……ハリーや、お誕生日おめでとう」
馴れ馴れしさ満点じゃね?
流石にハリーもちょっとアレだったのか、差し出されたケーキを受け取る前に「有り難いが、貴方はどちら様でしょう?」と真っ直ぐに言葉を放つ。
ちょっとだけ機嫌が良くなった。
「おお、自己紹介がまだじゃったな。俺はルビウス・ハグリッド。ホグワーツの鍵と領地を守る番人だ。
お前さんの両親とは友人だった。……おまえさんは父さんそっくりな顔だ。じゃが、目だけは母さん譲りだなぁ」
ハグリッドはハリーの手を取りブンブンと握手した。
ハリーの事でダーズリー夫妻とハグリッドが怒鳴りあった後、暇で仕方なかった私とハリーに渡された手紙。
怒鳴りあっていた辺りは、私は関係無い事なので割愛する。
だけどよーハグリッド。一つ訂正しろ。お前の、魔法使いの世界はハリーの世界じゃない。無論私の世界でも、ない。
魔力があったらそっち分類、だなんて冗談はやめて欲しいね。だってそんなのはさ、
「これはどういう意味ですか?」
多分ハリーは、手紙の内容全般について聞いたのだろう。
ハグリッドの書いた洋皮紙のメモが放たれるのを止めたからだ。
私も最初の一枚目をくしゃりと丸めると、口を開いた。
「説明が足りないな。」
「ダリアの言う通りだ。僕らは全く納得出来ていない。」
私が背もたれに腕を掛け、踏ん反り返って座るソファの隣にハリーも足を組んで腰を下ろす。
私は向かって暖炉の左に立つハグリッドに相対させるよう、暖炉の右側に両親を立たせた。
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