二次 | ナノ


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ホグワーツもよくやるな、と私はピーナッツバターをトーストに塗りたくりながらも感心した。
今後の展開において私が取るべき行動は大体決まったから、後は気楽に構えても大丈夫な筈だと思う。全く楽なポジションだぜ。

今日は卵に手紙が入っていた。卵代返せよと思う。
大体私は、ハリーが行かないならそれでいいと思っているのだ。私はいつか、来たときと同じように唐突に元に戻るのだ。戻れない可能性は真っ向から否定しよう。
多分、家族が恋しくなったら。戻れる気が、する。

とにかく余裕ありまくりで冷静に師匠の家へ稽古に向かう私を、ハリーは最初の時以来初めて訝しんでいるようだった。
なんだかんだで私はハリーの味方にいた。子供の如く我が儘に振る舞い続けた。

だけど、今回は。

今回ばかりは、そしてこれからの未来も、私は私しか味方がいなくても構わない。
これは多分、本能のようなもの。

私はこれから、一歩間違えれば家族の顔を二度と拝めないような綱渡りをするんだろう。落ちれば、家族の顔は消えるのだ。
ホグワーツは一本の綱だ。家は、先は見えないベルトコンベアー。

さて、私はこんなにスリルを楽しむ人間だったかな。





「日曜はいい日だ」

「そうだね。世の中が休日であり、パパが休みで家にいるからこそこのおからクッキーが出るという私に優しいお茶会が家族で楽しめるという点において、日曜日とは大変素晴らしい。」

日本…私の居た平成の世(は…もう始まってるか。まぁ言いたい事は伝わるだろうからいいや)だと尚更いい。アニメが盛り沢山。

いきなり日曜がいい日等と言い出したバーノン親父に、とうとうボケが始まったかと内心で思いつつ恐らく奴とは全く違う理由で同意を示す。
ノンシュガーの紅茶を嚥下すると、ハリーが私の顔をじっと見ていることに気が付いた。私は敢えてそれを無視し、おからクッキーを頬張る。

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