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今、私の目の前でハリーとバーノンさんの睨み合いが勃発している。
ハリーの手には手紙が二通。私とハリー宛てだ。勿論、差出人はホグワーツ。
「小僧、その手紙を渡さんか!」
「嫌です。この手紙は僕とダリアに一切の権利がある。伯父さんに渡す必要は無い」
「この…恩知らずが生意気な口をききおって!」
「恩は感じています。けど、それとこれとは話が別だ」
とまぁ、こんな会話が延々と繰り返されている訳で。こんなんじゃ埒があかないっつの。
煩くてイライラしてくるので、ちょっとこの場を収めるか。いい大人が子供と同レベルで喧嘩してんのは見苦しくて仕方ねーな。
「ハリー」
私がハリーの名を呼ぶだけでピタリと止む喧騒。面倒くさい。
「手紙をパパに出しな、二つとも。」
「ダリア!?」
「ハリー。パパが手紙を取り上げようとするのは、その手紙の内容が私達に害のあるものだからだ。
親は子供を守らなきゃならない。今回の件は、お前のが駄々をこねてるぜ」
数秒間、ハリーは私の目をじっと見詰めていた。やがて、そっと二つの手紙を私に差し出した。まて、何故私なんだ。
ハリー少年はこの手紙を私に任される気らしかった。
溜息が漏れる。マジめんどいわ。
「パパ。この手紙の差出人は何?」
「知る必要は無い」
「では、内容は?」
「下らんものだ」
「けれど私とハリーには悪影響なんだね?」
バーノンさんは即効で頷く。
私はハリーよりも大人寄りだ。当然、バーノンさんが今回何を思っているのかくらいは理解しているつもりだ。これは紛う事無き、親から子への愛の一つだろう。
私は頷き返して、手紙をバーノンさんに差し出した。
そしてハリーを伴い二階へ上がる。
今のうちにFF進めるか。あ、フリオニール格好良くて好きだぜ私は。
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