二次 | ナノ


▼ 28

卒業式の日から、私は傍目から見てぼうっとしたままだった。

もし、私に魔力があるとして。

ホグワーツに行くか行かないか。
そもそも魔法界とはどうなっているのか。ホグワーツ以外の魔法学校は。そもそも、命の危険がある場所に赴くメリットは。
行かなかった場合ハリーはどうなる。いや、ハリーは今のダーズリー家を捨ててまでホグワーツに行きたいか。

このような考えが、私の頭の中を目まぐるしく駆け回っていた。もし行くとするならば、私にとってホグワーツを何不自由無い空間にしなければ。でないと家を出るのに後悔が沸く。ハリーと行く、ハリーだけ行く、ハリーだけ行かない、さぁどれ。ああ、ダーズリー夫妻には何て言えばいいんだ。

これは起点だった。分岐点だった。今まで考えないようにしてきた事だ。
もし、私の選択肢にホグワーツへのルートがあったら、どうすればいいのか。



そして、手紙はやって来る。



私は私立聖イザベラマリア女学院の受験に合格していた。就職には向いていない、淑女『製造』学校だ。キリスト教系のこの学校には進みたくは無い。
受験をさせた馬豚夫婦は武術やら男装やらに突き進む娘を止めようとしての事らしいが、私自身は娘じゃねぇしそんな事は知らん。自らの運命を呪え。
宗教やら神やらは両親としては微妙らしいがね。そこら辺は、国として普通になってしまうから一応の信仰はしてるとかなんとか。
日本みたいに信仰の自由が欲しいと言っていたな。

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