二次 | ナノ


▼ 27

卒業式を迎えた日、私は適当にハリーの部屋へ向かった。
ノックを一回して、入るぞと声をかける。

「どうしたの、ダリア」

「私の誕生日の時の事について。」

一言そう言えば、ハリーはすっとその顔色を青くした。私は表情を作らないまま、ハリーのベットへ勝手に腰掛けた。


「………お前、あの時───爬虫類館から出る時、蛇に向かって何て言ったんだ?」

「え?」

違う、これが聞きたいんじゃない。私はそれは知っている。わかっているのだ。

「……なんでだかはよく解らないけど、退けって僕は言った。おかしいよね、蛇に言葉なんて、通じる筈がないのに……」

「だけど、蛇は退いた。

……悪いがな、ハリー。私には、お前の言った言葉は蛇の威嚇音にしか聞こえなかった。」


「…………え?」

ハリーの呆然とした視線と、私の視線がぶつかる。部屋に痛みのある沈黙が流れた。
私はハリーの顔を眺めに来た訳ではない。追い打ちにしかならないかもしれない言葉を吐くべく、私は口を開いた。

「それに、一斉にガラスが割れた事も不可思議過ぎる。
あのガラスは、お前がやったのか?」

「────あのガラスはダリアじゃないの?」

ひゅ、と吸った息が音を立てた。
これが私の聞きたかった事だとしても──ガラスも、ハリーのやった事だと思っていた私にとって衝撃は大きい。有り得ない。ダリアは、ダドリー・ダーズリーはマグルの筈だ。魔法は使えない。
だけどもし私だったとしたら。あの時キレたのは私。もし、ダリア≠ダドリーだとすれば。私という中身がこの世界では魔力を持っているならば。

私は、まだもう少しこの世界で好き勝手出来るかもしれない。

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