二次 | ナノ


▼ 25

「パパ、ママ!」

「ダリアちゃん!!無事だったのね!!」

「うん、ガラスの傍にはいなかったから皆無事。ママ達は?」

「大丈夫よ、さぁ早くここから出ましょう!」

阿鼻叫喚の地獄絵図ってこういう事だろうか。
全ての爬虫類が逃げ出している───毒蛇だけではない、小型とはいえ鰐だっているのだ。ぼんやりしてたら命さえ危なくなる。

「!」

と、入口に差し掛かった時だ。

「毒蛇……!」

うようよと毒蛇が集まっているのだ。──扉が閉まっているから、外に出れずとも光に反応して集まって来てるのか!!

「後ろから鰐が来てる!!」

どうすんだよ、ここでゲームオーバーなんてあるのかよ!!


その時だった。

「 退け! 」

シャア、と隣から蛇の威嚇音のようなものが聞こえた。それを聞いた蛇達がザッと道の端に除ける。
────ハリーだ。





爬虫類館から転げるようにして飛び出した私達は、青褪めた顔で互いの姿を確認した。

「皆無事だな?」

「無事──だと言いたいけど、ピアーズが顔を殴られてる。
不良がいたんだ。物陰でそいつらに絡まれてたから、逆に助かったよ。」

バーノンさんの声に答えた私は、その視線をペチュニアさんへ滑らした。
ハリーの傍にいたのは私とペチュニアさんだけ。つまり、ペチュニアさんはハリーのパーセルタングを聞いた事になる。

「ピアーズ君、大丈夫かね?」

「自業自得だよパパ。先に挑発したのはピアーズなんだ。私とハリーは自衛出来たから良かったけど、ピアーズは……」

私が冷めた口調で言えば、ピアーズは信じられない、という顔で私を見る。知るか。
私は二年も前に利口になれ、と言った筈なのだ。頭が悪くなきゃあの状況で相手を挑発する訳がない。

「………バーノン、帰りましょう。あんな事があったんだもの、ダリアちゃんも……」

prev / next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -