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確かにガラスは消えなかったけどさ、
「いいとこのお坊ちゃんか、お前ら。」
Q.この状況はどういう事だ馬鹿野郎!!
A.物陰にて柄の悪すぎる野郎共に取り囲まれてます。
しかもいいとこのお坊ちゃんって。私も?私もなの?いよっしゃー中性顔バンザイって喜んでる場合じゃNEEEEEE!!
ガキ三人で囲まれて、じゃ年の差で勝てなくねー?無理ゲーだな。ママ達は近くにいねーし……
「ちょっとお金貸してくれねぇか?」
「……持ってない。」
「お前ら何かに貸すかよ!」
ちょ、おま!余計な事言ってんなピアーズ・ポルキス(10)ぅうう!!
私とハリーがじりじり警戒しているにも関わらず、ピアーズ君があっさりと相手を挑発した。
こ、の、馬鹿がッ!!
私とハリーが動くのは早かった。伸ばされた腕を取って捻り、相手の体制を崩して投げる。投げたら間接を決める。
もやし体型二人のガキが強かったからか、取り囲んでいる奴らは一瞬怯む。だがすぐに隣でバキ、という音が聞こえた。ピアーズが殴られた音だった。
捕まったピアーズを盾に下卑た笑いを浮かべて、そいつらは金、と一言。クソ、結局ピアーズかよ畜生が。
「持ってない、と言った」
「ああ?」
「馬鹿が。このガキ殴ってりゃ脅えて出すだろ、金」
殴ってりゃ、だ?ふざけろ、くそ野郎共が!私の前でガキ殴る事は則ち死刑だっつの!!
有言実行と言わんばかりにピアーズに向かって上げられた手に、私は確かにキレた。
その直後、館内はガラスの割れる音と悲鳴に包まれた。
一瞬で冷める脳。
私と同じように立ち尽くした野郎共に構わず、ピアーズを引ったくり走り出す。ハリーも直ぐについて来た。
「ダリア!!何が起こってる!?」
「知るか!!親連れて直ぐに出るぞ!!」
ここには毒蛇もいた筈だ。私の予想通り館内のガラス全てが砕けていたとしたら───危険何てものじゃないだろ!
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