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「まぁいいや、親が呼んだなら私は知らん。せいぜい私の祝い事のお零れを楽しめよ、二人とも」
ピアーズとハリーに言ってから、私は二階へ上がった。出掛けるのに荷物を取りに行くためだ。あと、ハリーに今私が着てるのと色違いのジャージを羽織らせる為。
ショルダーバッグにゲームボーイとサイフを放り込んでジャージと一緒に持ち、帽子を被って下へ。
「ハリー、お前ちょっと来い」
「何?」
「いいから」
腕をまくって手にムースを出し、ハリーの少し長めの黒髪へ馴染ませていく。親に言ってハリーには定期的にストパーをかけ、更になるべくアイロンで真っ直ぐにしているからなのか、こやつはクシャ髪でなくサラストである。
それを左に流すようにセットして、ジャージを渡せば出掛ける準備は終わり。
動物園へれっつらごー、と。
おい、そういえばここで私は蛇の代わりに檻に入るんじゃなかったか。
ハリー、ピアーズと並んでクッキークリームのアイスを食べながらキリンを見上げる私は急にその事に気が付いた。
やばいまじやばい。っべーよ!
ジャージお気に入りなのに汚れるだろ!白いし!
あー…爬虫類館に行かなきゃいいのか。だが蛇と蜥蜴見たいし。好きだし。俺のハリーはガラス消す筈がないし、大丈夫だろう。
昼飯を食べた後、結局爬虫類館に入ったのはハリーに対する信用の現れである。
「ハリー見ろよ。カメレオンがいるぜ…!」
「本当だ。……ダリア、もしかして爬虫類好き?」
「もしかしなくとも好きだ。爬虫類可愛いよなぁ……」
「確かに顔の作りは愛嬌あるよね」
爬虫類の可愛さに静かに盛り上がる私とハリーに、ピアーズはどん引きだった。
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