Mura×Himu


「お風呂先にいただいたよ」

皆より少し体が大きいオレに与えられた立派な寮の一室に、途中から入ってきた室ちんが加わった。バス・トイレ付と他よりも恵まれたこの部屋は、室ちんがお風呂に入ってる時にやけに広く見えた。
上がってきた室ちんはお世辞にもお風呂に入ってきたようには見えなかった。ソファで寝転がるオレのところに歩いてきた室ちんの手に触れたら指先がもう冷えていて。まぁ室ちんにとってはお風呂なんて汗流すだけの場みたいだし、長すぎるアメリカ生活のせいで湯につかって温まるっていう概念がないのかもしれない。

「室ちんまたお風呂入んなかったでしょ」

秋に差しかかって、夏の寝苦しさはどこへいったのか。東北の夜は初秋でも冷え込む時は冷え込む。スポーツマンにとって体調管理は第一といっていいほどのことなのに、下手にシャワーを浴びて寝るなんて風邪を引いてしまったら元も子もない。大好きなバスケ出来なくなってもいいのかこの人は。

「大丈夫だよ、多分」
「くしゃみしたらソッコー風呂入れるから」
「だから平気だっくしゅんっ」
「はいお風呂いこうねー」

強がって見せたのも一瞬で、次の瞬間にはくしゃみをした。お菓子を頬張りながらじと、と見つめると室ちんはあはは、と眉をハの字にして苦笑した。
冷たい腕を引っぱって強引に腕を通したばかりの寝巻を剥ぐ。下から「止めろ!」「Stop!」「アツシ!」とかなんとか言ってる声が聞こえたけどそんなの無視。嫌がる室ちんの服を脱がすのはまるでえっちの前みたいだけど、今回はそんなやましい気持ちは一ミリたりとも……………うー………一ミリくらいはあるけどさぁ。しかたないよね?
全裸に剥いた室ちんを抱き抱えて風呂場まで戻って湯船に落とす。ざぱん、と飛沫が服を濡らしたけど細かいことは気にしない。湯船からあがろうとする室ちんの肩を押さえて湯船につける。キッと睨みつけられるけどそんなんで動揺してたら室ちんの相手なんてできないでしょ。

「風邪引きたくないならしばらくこのまんまだからね」
「熱いのは嫌いなんだ。早く手をどかせ」
「室ちん日本語わかってる?」
「ほっといても風邪なんて引かないし大丈夫だって言ってるだろ」
「ほっといたら風邪引きそうになるからダメだって言ってんの」

抵抗するのを諦めた室ちんは渋々湯船につかることを許容した。白い湯気が浴室を満たしていく中、オレはバスチェアに腰掛けて室ちんの肩を押さえている状況にあった。室ちんの裸は見慣れているけど直に温かくなって血色が良くなってくると目を逸らしたくなる。
室ちんは若干高校二年生でありながら持て余すほどの色気があるのはもう全校生徒が知っていること。アメリカに住んでたってことも大分影響してるんじゃないかな、日本で暮らしてたらまずこんな風には育たない。
汗が伝い落ちてしっとりとした首筋は舐めたくなるくらいに滑らかで、その先にある鎖骨には思わずかじりつきたくなる。ほんのりと朱の差した目元は熱に浮かされて空を彷徨っており、薄い唇は浅い呼吸を繰り返し、時折唾を飲み込む。
深い漆黒の瞳が長い睫毛に隠れてふぅ、と息を吐く。再び開かれた瞳が上目に持ち上げられた時、申し訳なさそうに笑んだ。

「……アツシ、いいだろうか」
「は?」
「………いや、その、…そろそろ限界だ」

頼りなげにひそむ眉に室ちんの言う限界が読みとれる。頬は紅潮して、さっきまで浅かった呼吸ははー、はー、と辛そうなそれに変わっている。たった十数分つかっていただけでのぼせてしまう、と呟いた室ちんは相当お風呂が苦手みたいだ。

「も、…いいだろ、はやく」

あがらせて。室ちんはそう言おうとしたんだと思う。でもこの場の雰囲気からしてその言葉は情事中のそれと遜色なかった。オレは室ちんの熱い体を抱えて風呂を出て、そのままベッドに転がりこんで室ちんの火照る唇に食らいついた。啄ばむようにした口付けはすぐに溶け込むように深いものに変わっていく。オレの肩を掴み剥がそうとする室ちんの手は徐々に力が抜けていって、最後はただ添えるだけにしかなっていなかった。
室ちんは感じちゃうと抵抗できなくなっちゃう子で、とっても危なっかしい。相手がオレだからいいものの、他の男に襲われちゃったら到底逃げられない。体中の力がぬけちゃって相手に支えられながら善がるしかできない。

「…っん……ぁ…ふ…っ…」

発熱する頬に手を添えて、濡れた首筋をなぞるとびくびく反応して切ない吐息を漏らす。唇を離すとつぅ、と透明な糸がお互いを繋ぐ。それを千切るのがもったいなくてもう一度柔らかい唇を食んだ。
そっと室ちんの下肢に手を運ぶと、そこはどこよりも熱く昂っていた。与えられる快感に正直すぎるえっちな体は、指先が擦れただけで唇の隙間から声をあげた。

「や、んん……っあぁ!…あ、つし…っ」

声の合間に吐息を吐く室ちんはとんでもなくえろい。このまま下肢をもてあそんでもいいけどすぐイっちゃうからちょっとパッションおさえてく。
腰骨を撫でると女の子みたいな声出して体をくねらせる。弱い耳に舌を這わせると室ちんはいやいやと頭を振る。目元にはたっぷり涙を溜めて。

「Forgive、forgive me、…は…ぁっ」

「ちゃんとおふろはいるから、だから、」と舌っ足らずに懇願の言葉を並べる。ねぇ、それ誘ってる以外に見えないのしってる?ぽろりと目から落ちた涙がシーツに沁み込む。ひぃひぃ言う室ちんに意地悪くにやけた顔で問い詰める。

「だから、何?どーしてほしいの?」
「……ぁ………?」
「やめてほしーの?それとももっとちんこいじめてほしい?」
「………っ…」
「…それともココにオレのちんこでぐちゃぐちゃにしてほしい?」

飴玉みたいな目をさらに潤ませて、室ちんは押し黙った。一呼吸おいてから真っ赤になった顔を両手で覆って「...I hate you」と拗ねたように呟いた。素直じゃないのはお互い様だけど、ちゃんと言わない悪い子にはお仕置きが必要だよね。
室ちんの足を持ち上げて肩に乗せ、浮いた腰の下にクッションを敷く。傍に置いといたローションのボトルを取って反り返るそれに垂らすと、「ひゃっ」と不意打ちに鳴いて体をびくりと揺らした。垂らしたローションを室ちんの張りつめたそれになじませる。裏筋を親指で押しながら上に下にマッサージの要領でぐりぐりしていくと、先っぽからローションじゃない液体が溢れ出てくる。割れ目を押すとぷちゅ、と出てくるのがまたえろい。

「ふあぁ、あ、…あぁっ…冷た…っ」
「アララ、室ちんのちんこあっついね〜」
「やだ、あっ!やぁ、…はっ…うぁ、」
「ローションすぐ温くなっちゃったねー、超硬くなってるし」
「っあぁ、あ、っ、ん」

閉じようとする足を開いた手で開いて押さえる。室ちんの股にローションが伝って、なんか、すごいことになってる。双丘を割った先の窪みにローションと室ちんの先走りでどろどろになった指を埋める。のぼせた室ちんのそこは易々と迎えてくれて、中できゅうきゅうと締めつけた。壁伝いに指を這わせていくと、室ちんの大好きなところに辿り着く。

「…っはぁ、ぅん………ひ、ぁあっ!やめっ」
「うわぁすごい締めつけてくる。室ちんここ本当に好きだねー、かわいい」
「ああっ、やだ、やめてくれアツ…ひあっ」

やだやだ言う室ちんを黙らせるには快楽を増せば簡単だってのは、体を重ねて知ったこと。絶え間なく喘ぐ室ちんの中に入れる指を増やせばぐっと背を反らせて腰を浮かせた。くちゅくちゅ音の鳴る穴はその持ち主と同じように危なっかしい。どんなモノでも飲みこんで、ぎゅっと締めつけて、瞬く間にメロメロにさせられてしまう。締めつける間隔が短くなると好きなトコ近いよって教えてくれる、わかりやすいカラダ。好きなトコ突かれると上のお口から涎出ちゃうし、イくと体びくびくさせちゃうし…どーしてこんなにビンカンなのかなぁ。こんなにえっちなおにーさん室ちんくらいしか知らないよ。

「ねー、そろそろ入れていい?入れちゃうね」
「…ふぁ、だめ、これいじょうは」
「何がダメなの、こんなぐちゃぐちゃにして」

ぐちゃぐちゃにしたのはお前だろっててっきり殴られるかと思ったんだけど、思いのほか室ちんは頭の中までのぼせちゃってるみたいだ。ううん、きっと室ちんはお風呂の熱さでどろどろに溶けちゃったんだ。

「…おれ…おかしく、なっちゃうだろ、」

潤んだ目からまた一粒涙が落ちた。悩ましげな表情が腰に直接響いてくるようだ。半開きの唇は艶めいて、頬は上気してリンゴみたいに美味しそう。唾を嚥下して動く喉にかじりつきたくなる衝動を抑えて、オレはジッパーを下げた。

「こっちはとっくにオカシクなってるよ」

誰かさんがえっちなせいでね、赤く色付いた耳元に呟いて、室ちんの溶けきった窄みに己の昂りを滑り込ませた。
ぐちぐちと柔らかいナカにはち切れそうなまでに膨れ上がったものを入れるのに少しは手間取るかと思ったけど、何度も繋がってるせいか難なく入れることができた。これもお風呂のおかげかなーなんて浮ついた頭で思ったけど、多分、というかやっぱり、室ちんがえろいからだ。さっきから室ちんがえろい、で片付けてるって?いや、だってそうじゃん。実際。
ズン、と入れた衝撃で室ちんが悲鳴をあげたけど、どちらかと言えば嬌声に近かった。いいトコ擦れたのかな、とクッションと室ちんの腰の間に手を差し込んで抱きこむとより深く繋がれた。前かがみになって室ちんを見下ろすと、気持ち良すぎて涎垂れちゃってた。

「ぅあ、らめっ、…っあぁぁあ、」
「…うっわ、……えろー」

口の端から垂れた涎の跡とか、目元の涙痕とか、もうたまんない。欲望のままに腰を進めると、室ちんはきゅっと目を瞑って眉を寄せて「アッ」と声をあげた。
呂律回ってないまま制止の言葉言われても煽ってるだけってことそろそろ覚えてほしいんだけど、室ちん覚えが悪いからダメみたい。何回言っても覚えてくんないし。

「ぁ、ンっ……そ、んな奥、深、ぃッ」
「奥がイイんでしょ?奥好きじゃん室ちん。もっと奥に欲しいんでしょ?後ろすっごいヒクヒクしてるし」
「やぁ、ひっ……ンぁっ!」

ギリギリまで引き抜いて、勢いよく突くと室ちんは気持ちよさそうにぎゅうぎゅうキツく締めつける。オレのが普通より大きすぎるから、ゼンリツセン?っていうのをいつも擦られてどうにかなってしまいそうだ、と初めに言われたことがある。うっとりとした顔で溜息を吐いたのをその時のオレは不思議に見つめてただけ。入れられてる方の感覚は気持ちいいくらいしかわかんないから。
今みたいにのぼせて抵抗もできなくなった室ちんは快感を遮る術もなくて可愛そうなくらい啼いて喘いで乱れてオレの好き放題にされてる。ゼンリツセン擦られるのって相当気持ちいいのかな、室ちんの様子を見てるとわかりそうな気がした。

「やっぁ、大きくしないで…ッ」

室ちんの懇願は無謀だ。そんなオレを煽ることばっかしといて大きくするなだなんて。自分が原因だってそろそろ気付いてよ。
室ちんの昂りを手のひらに収めて腰を進めながら擦ると、また一際高い声をあげて体を浮かせた。

「ねー室ちん、どっちでイきたい?前?それとも後ろ?」
「…はっ、あ、っ…ン、はぁっ」
「んー、答えられいか。じゃあナカで出していー?オレそろそろ我慢できないしー」

ふるふると首を横に振る室ちん。ぶー、と頬を膨らまして腰を進めながら「ダメ―?」と聴いても室ちんは喘ぎながら首を振る。ほんとに素直じゃないんだー。ホントは後ろにたっぷり出してほしいの知ってるよ。そんでお腹の中もっとぐちゃぐちゃにしてほしいの知ってる。後始末しながらお風呂場でもう一回えっちしたいのも知ってる。
―――…オレがダメって言われて「はいそうですか」って言わないの、室ちん知ってるよね?
室ちんの体を起こして、細い腕を背に回す。室ちんの体重も合わさってより深くなる接合に小さく喘いでたけど、乗せちゃった方が逃げることもできないし、いいよね。
そのまま腰を動かすと、室ちんの体が上下に揺さぶられて、その度に揺れる濡れた髪が何度目かわからないけどオレを煽る。

「おくっ、おくばっか、あっ、アッ」
「室ちん、室ちんかわいー、もっとみせて、室ちんのかわいーとこ」

ちゅ、っちゅと唇を重ねて聞こえたくぐもった声もかわいくて、また大きくなった気がした。目もとの涙痕を舌でなぞると室ちんは吐息を漏らして「アツシ」と呟いた。

「アツシ、アツシっ…あぁっ、ひぃ…」
「なーに室ちん、きもちいー?」
「いいっ、きもちいい、っあ、ん、」

縋りつくように室ちんの腕が背を抱き締める。腰を抱く手に力を込めてちょっと強めに突いたら、びゅってお腹に熱いものがかかった。密着してるから見えないものの、えっちしてるわけだからそれがなんなのかわからない人はいないと思う。

「アララ、室ちんイっちゃった?ここそんなによかったのー?」
「っ!やら、ソコっ…でちゃう、やぁっ」
「もー出ちゃってるから心配しなくていーよ」

イきながら泣きだす室ちんをあやそうとぽんぽんと頭を撫でる。びくんびくんと波打つ体を抱き抱えながら昂りを打ち続けるのは意地悪だなーと我ながら思うけど、かわいい室ちんが悪い。全面的に悪い。
弓なりにしなる体は絶頂に達した後の余韻に浸ることを許されず、快楽を与えられ続けてさらに敏感に反応する。それに比例して絞り取るように収縮する穴に刺激を受けてオレも限界だった。

「室ちん、オレもーイキそうだからナカで出してもいーよね?…つかヤだったら逃げていーよ。逃がさねーけど」
「はっ、あっ、アツシ、のいじわる…っ」
「んーとね、なんだっけ、褒め言葉?」

子供みたいにケラケラ笑いながら、室ちんを攻めるスピードを速める。イったばっかで敏感になってる室ちんの体はその刺激にも過剰に反応して喘ぎ声はひたすら繰り返される。
腰と後頭部を抱えて突きあげる。ぐちゅぐちゅと接合部の音が大きくなって、それに加えて室ちんの泣き声も余裕がなくなってく。もとから余裕無さげだったけどね。

「ひ、ィ、あ、っ、あっ、ぃあっ、あぁぁあっ!」
「……むろち、きもちい、っ」
「っぁぁ、あ、っん、あつし、あつしの、出て…っ」
「ん、室ちんのナカ、たくさん出してあげるから、ね」

ひくひく肩を揺らす室ちんのほっぺに唇を押しつけながら欲望を打ち付ける。室ちんの奥にめいっぱい出してあげる。長い睫毛に少し隠れた真っ赤な目を細めて震える室ちんも気持ちよさそうに蕩けた顔で空を見てる。ぐったりした体はしなだれて、ゆっくりと呼吸を整えるように息を吐いた。

「お風呂入らない悪い室ちんにお仕置き、どーだった?」
「………最高だったよ、はは、」

「今度からちゃんとお風呂入る」と掠れた声で肩に凭れた。「別に入らなくてもいーよ、今したこともっかいするだけだし」と笑って見せたら、室ちんは首を横に振って「もうやだ」と呟いた。



この後足腰立たない室ちんをお風呂場に連れてって後処理しながら第二ラウンドやったのはまた別のはなし。翌日ベッドで一日過ごすことになった室ちんに顔面殴られたのも別のはなし。




お風呂ですぐにのぼせちゃう


( そんな室ちんのはなし )


むっくんハピバ!
20121009 ナヅキ
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