白石は、触れるだけのキスを好む。

好む、というか、触れるだけのキスしかしない。それ以上は未だにない。
想いを伝えて、心を通い合わせて結構な月日は経ったというのに、その先にはいつまでたっても進めていない。何だかいつも誤魔化されている気がする。……愛してくれているのは、判っているけれど。


「幸村クンはホンマお人形さんみたいやなぁ」

「……したいの?」

「お、さすが」

「毎回誘い文句がそれだと、なかなか呆れてくるよ」

「シャイなんや、こればっかりは仕方あらへん」


頬を両手で挟まれ口付けられる。

(……甘い)

良く言えば、砂糖菓子のような。悪く言えば、子供騙しの。唇に押し付けられている暖かなそれに目を閉じる。

白石が仕掛けるキスは泣きたくなるほど優しい。綺麗すぎて、眠り姫を起こす為に王子が施した口付けのような、一種の神聖さすら感じる。そう、見返りを求めていないキスだった。壊れ物に触れるように、優しく、一方的な愛を注ぐ。


「……ど?」

「……どうって、言われても」

「つれへんなぁ」


そんなことを言われても、何も言えないのだから仕方がない。
もっと、と言ってもいいけれど、そうして施されるキスはきっとまた今までと同じものだ。意味がない。欲しいのは、そんなものじゃなかった。


「……欲しいものってさ」

「ん?」

「どんな手を使ってでも手に入れる主義なんだよね」


気付いているのかいないのか、白石の顔に浮かんでいるのは純粋な疑問符。唐突なこの言葉の意味は判っていないだろう。

(俺はそんなに、我慢強くないよ)

白石の中で幸村という存在がどのくらい脆く出来ているのかは知らないが、ぬるま湯の愛はもうたくさんだ。待つのはもう、止めた。


「だからさ、」

「え」

「ちょっと黙って」


とりあえず、綺麗で憎らしい程甘い唇に噛み付く所から始めることにした。







リア友のトモアキさんに捧げた庭球のしらゆき。初書きです^q^
関西弁エセすぎてすみませ…!堪忍して!毒手は勘弁!(おい)

トモアキさんのみ持ち帰り可です(^ω^三^ω^)


111017
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私をどうしたいのあなたは。私じゃなくともぴぎゃりますよ。
寝れなかったんだぞ、睡眠時間返せ。
これで初めて書いたとかほんと舐めているんですか。
だいすき。

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