18四男とすれ違い+柳田(映画視聴済)


「…………はぁ」
「イチ」
「ん?あっ、ハルちゃん。こんな時間までどうしたの?」
「部活のミーティングやっと終わったとこ。イチこそ、教室で黄昏れちゃって…柳田は?」
「今まさにそいつを待ってるの。委員会だとか、なんか面倒くさいらしいよ」
「へえ、仲いいよね君ら。だからひとりにされて寂しくなっちゃってたんだ」
「えっいや、そ、そんなんじゃないよ。ほら今日、世界史の課題、量ヤバかったでしょそれでさちょっと、滅入っちゃって、はは」
「あーね、もっと生徒にやさしくしてほしいよね」
「うんうん、そうなんだよ」
「でもなんだかんだ課題のこと真剣に考えて、イチはえらいよ」
「そんなこと、ないよ。もっとみんなと遊んだりとか、したいし、友達だから」
「楽しそうで羨ましくなっちゃうなあ男の子同士つるんでるのって。柳田もね、イチはいい奴だー人を思いやれる優しい奴だーってね」
「そんなこと、言ってるの」
「面と向かっては恥ずかしいのかなやっぱり。いつも一緒にいると尚更さ。その気持ちはなんか、分かっちゃうけど」
「まあ確かに。ふざけてじゃれ合うのがおれたちのコミュニケーションだから、シリアスなのは向かないんだよね。騒いでるのがいちばん楽しいっていうか」
「そっか、そうだよね。いちばんは友達だよ」
「…どうしたの?」
「ん?私が入る隙はないのかもなーってはなし」
「ま、まさかハルちゃんあいつのこと、好き…なの」
「あは、柳田はちがうよ!んー…ほかのひと、だけど実らなさそう」
「だ…れ、あ、お応援するよおれ相談とかも…乗るし、」
「んーん、ありがと、気持ちだけもらっておく…わ、私もういくねそれじゃっ」
「えっ待ってハルちゃ…!送る、…っ」
「ごめん…っ」
「…………………。ハルちゃ……う、うわああああああああん!ハルちゃあ゙あ゙あ゙ああああ゙あ゙…!」
「お待たせ……い、イチ?」
「ん?」
「いやいやギャン泣きだったろ大丈夫かよ」
「ず…っ、べつに、たいしたことじゃないから」
「そういやハルとすれ違ったな」
「うっ。ほんとなんでもないんだ、ただハルちゃんには好きな人と幸せになってほしくて、感極まって…はは、恥ずかしいなあ。…ハルちゃんが誰かと付き合う、とかまだピンとこないけど、あーはは、ほんと誰なんだろ」
「え…?でもハルってお前のこと…」
「お、応援してあげないと…っね」
「…そうだな、ハルもお前もな」



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