四男と美味しい食パンの食べ方

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「ねえハル、これ食べていい?」
「食パン?いいよ、私やろうか」
「ん、いい。自分でやる」
「そ。好きに使っていいから」
「あざす………あれ、ハル…あれ切らしてる」
「あれ?なに?」
「ほらあれ、ごはんですよ。…マヨはあった」
「…やっぱ米にするの?」
「いやパン食べたいですけど」
「え?」
「え?」
「ん?」
「は?」
「パンに塗るもんなのそれって」
「え定番じゃないの…!うちではいつもあるけど」
「ごはんですっつってんだから米にかけなよ」
「パンにかけたってよくない?これ名乗ってるんじゃなくて食卓に呼んでるだけでしょ」
「ぐうの音も出ない」
「けっこういける口かもよ」
「まあ、松が食べるなら常備しておくけど」
「いいの…?ふひ、あざーす」
「じゃあ、今日のところは特別に私のとっておき食べさせてあげる」
「おれ見てていい?」
「松、ひっつくのはNG」
「……はーい」
「まず食パンをトースターでキツネ色に焼きます」
「これだけでも普通に美味い」
「それはまた今度ね。次に、バターをパンの熱で溶かしながら、染みっ染みになるまで塗りたくります。マーガリンでも可」
「焦げ目のカリカリ感が死んだね」
「仕上げにコンデンスミルクをお好みでかけたらできあがりでーす!わあ、簡単」
「おれが期待してた味とは見事に真逆なんだけど」
「おすすめはミルクで池ができるくらい」
「カロリーの暴力…」
「ちょっと食べ方にコツはいるんだけど」
「ミルクかけすぎなだけだろ」
「はい松、あーん」
「…あー、」
「あぁほら垂れちゃう!なめてなめて」
「あむ、ん……れ…。あっま…」
「うわえっろ」
「…わざとやってんの、ハル」
「まさかまさか、いつもの分量よ」
「ぜったい太る」
「気をつけてるもん、いちおう」
「…ハル、もう一口」
「なんだ、美味いんじゃん」
「あんまぁ」



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