長男とバタフライキス

「ハル、なんか目ぇ長くない?」
「まつげが長いって言って、おそ松。まつエクしたのよ」
「松クラスタ?」
「まつげの、エクステンションをしたの。人工まつげ」
「へぇー整形したのかと思った」
「かなり違うでしょ。私はけっこう満足してるんだけど、どう?」
「べつにハルは増やす必要なくね?まつげいっぱいあんじゃん」
「私ビューラー苦手だしマスカラもダマになっちゃうから。つけまはノリの処理が面倒だし、ホットビューラーも考えたんだけどね、まつエクならシルクとかミンクとか素材選べるしカールも…」
「ちょまっ、待って待ってハル日本語でしゃべれって」
「母国語しか話せないはずですが…」
「いやカラ松語なみに意味わかんねぇよ」
「ところで、バタフライキス興味ない?」
「え、泳ぐの?俺バタフライ自信ないなー。十四松に頼んでよ」
「そっちじゃなくて、ちょうちょのほう」
「あー虫専も十四松だわ。俺は絶対ムリ」
「それでもなくて」
「じゃなによ」
「まつげでね、こう、ほっぺとかをパサパサするの。パサパサパサっ」
「はあ?!近っ!」
「これもキスの一種なんだって。女の子とのキス体験おめでとうおそ松くん」
「キっ……!?」
「どう?」
「ハルのバカ!」
「…あ、逃げちゃった」



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