…12月22日
今日は街に出てお買い物。最近、学校が早く終わるから部活も早く終わる。そのお陰で僕は部活後でも買い物をする時間がとれるようになっていた。
「(今回の通知表は思ったよりよかったなぁ…次も頑張ろう)」
今日は終業式で雷門中の生徒全員は通知表を受け取っていた。学校でキャプテン、豪炎寺君、鬼道君の通知表を見せてもらったけど…うん、鬼道君が一番よかった。
『オール5…?!は、初めて見た…!!』
『僕もだよ…すごいね鬼道君…』
『雷門と帝国じゃレベルが違うからな。帝国の内容は雷門よりかなり難しい』
『自慢か…自慢なのか鬼道…!?』
『フッ…』
『うぜーっ!!』
このやり取りはキャプテンがキレる5秒前
の出来事でしたまる
「今日は何にしようかなー?」
スーパーの野菜売り場で今日の夕飯を考える。うーん、最近寒くなってきたしシチューにしようかな…あ、玉ねぎがない。
「玉ねぎ、玉ねぎっと……ん?」
あれ?…豪炎寺君?
少し離れた魚売り場で誰かに電話をかけている豪炎寺君を発見。珍しいこともあるものだ。
「(あれ?なに抱えてるんだろう?)」
豪炎寺君は電話をかけながら何か大きい物を抱えていた。僕の所からじゃ後ろ姿しか見えないから何を抱えているのかわからない。何だろうあれ…
「なんで魚なんだ?肉だろ普通…いや、そういう問題じゃなくて…はぁ?!こっちは荷物が多くて大変なんだぞ?!そんなに買えるか」
珍しい…豪炎寺君が反抗してる。ていうか、電話相手は誰なんだろう?
「ご、豪炎寺……え?」
「ん?…なっ、吹雪?!」
振り返った豪炎寺君の腕の中にある物…
「ぶふっ…!!!」
「わ、笑うな!!俺だって好きでこんなの…!!」
「いやいや、大丈夫。わかってるよ、豪炎寺君がそういうの好きでも大丈…ふふふっお、お腹痛い…あははははははっ」
「吹雪、お前何か勘違いしてるぞおい!!!」
豪炎寺君の腕の中にあったもの…それは巨大な白熊のぬいぐるみ。かなり大きくて背の高い豪炎寺でさえ持つのに一苦労のようだ。
「だって…っ、ふふっ…あの豪炎寺君が熊のぬいぐるみ抱いてるなんて…!!しかも、魚売り場で何してっ…あははははははっ!!も、腹筋が痛いっ…!!!」
あの格好いい豪炎寺君がかわいい白熊のぬいぐるみを抱いて魚売り場にいたことに爆笑している僕。なんかおかしいよ!!色々おかしいよ!!
「いや…これはクリスマスパーティーのプレゼント用で…」
「え?クリスマスパーティー??」
クリスマスパーティー…やるの?
僕がわからないという顔をすると豪炎寺君は何か心当たりのあるような顔をした。そして、通話中の携帯を再び耳に当てる。
「おい円堂」
『なぁなぁ、吹雪と会ったのか?なんか今、吹雪の笑い声がきこえ』
「お前、吹雪にクリスマスパーティーのこと話したか?」
『……………………………あ』
キャプテン…今思い出したんだ…
『ごめん、言うの忘れて(ピッ
話し途中のキャプテンとの通話を切り、僕に申し訳なさそうな視線を送る。うん、なんか大体予想できた。
「……24日の夜から25日にかけて、雷雷軒でクリスマスパーティーをやるんだ」
「そうなんだ」
「その時、プレゼント交換もするからプレゼントは各自持参。で、これが俺のプレゼント」
「楽しみがなくなるプレゼントをチョイスしたね豪炎寺君…丸見えじゃないか」
「包めば問題無い」
「大きさの問題はあるでしょ」
冷静に豪炎寺君に突っ込みながら24日のクリスマスパーティーの日程やら内容やらを聞く。多分、地味に傷ついてるんだね僕…
「これが隠してたこと?」
「YESでもありNOでもある」
「僕も仲間に入れてくれれば良かったのに…」
「悪かったな。吹雪には秘密だったんだ」
なんで僕だけ?と聞いたらパーティーに来たらわかると答えられたら。24日から25日…あれ?25日って何かあったような…大事な何かが…
「うーん??」
「どうした吹雪?」
「…ううん、何でもない…」
まぁいいか、と思考を中断して豪炎寺君に意識を向ける。うん、面白い。
「僕、熊好きだよ。山オヤジー」
「殺すなよ」
「殺さないよ。さすがに人形を蹴ったりはしないよ。頭飛びそうだし」
「…………」
「冗談だよー」
あははと笑いながら僕は豪炎寺君のあとを着いていく。スーパーで並んで歩くと夫婦みたいだなぁなんて幸せなことを思いながら買い物を済ませた。
「なぁ、吹雪。明日映画に行こうか」
「ん?映画?」
「あぁ。ほら、お前が好きなあのサッカーアニメ…明日公開だろ?観に行かないか?」
僕が好きな…あぁ、あれか!!
「行く行く!!絶対行く!!デートだデート!!!」
わぁいと嬉しくて走り回っていると豪炎寺君に首根っこをひっつかまれた。そして、そのまま口に触れるだけのキスをされた。