24歳豪炎寺さん×14歳吹雪君
豪炎寺さんは医者で吹雪君は患者です。見ての通り、年齢操作してます。ご注意を…
「ん?」
「あ、」
出張先の北海道の病院で働いてる時、俺は吹雪と出会った。
「………」
「………」
初めて出会ったのが滅多に人が来ない資料室だったなんて笑えるだろ?それが出会いだった。
「………(こんな所で何をしているんだこいつ…)」
「………」
北海道という極寒の地なのに、こいつは薄い寝間着姿。勿論、資料室には暖房なんて入っていない。
「………(まぁ、いいか)」
医者として致命的な「患者の放置」を実行してしまった。俺はそいつをスルーし、自分の用事を済ませてさっさと資料室から退却。出て行くとき、キョトンとした目で俺を見ていたが、それを無視して何事もなかったかのようにドアを閉めて温かい医療室にへと戻った。
「あ、おかえりー」
「おかえりなさい」
「ん、」
医療室で待っていたのはここの病院で働いてる同僚にあたる基山と看護婦の久遠だった。
「寒かった?」
「あぁ、さすが北海道だな。死ぬかと思った」
「豪炎寺君、寒がりだもんね」
久遠から淹れたてのコーヒーを受け取って少し飲む。うん、相変わらずかなり美味い。
「二人は休憩か?」
「いや?」
「私はお昼まで休憩だけど、ヒロト君はまだ勤務中」
「おいコラ」
「別に大丈夫だよ。ここの病院、急患以外滅多に人こないし。お昼まで暇同然だよー」
「まぁ、…否定はできないが…」
ここの病院は何故か人があまりこない。入院患者はそれなりにいるが、通院者はまったくと言っていいほどいない。田舎の病院ならではなのだろう多分。
「まぁ、なんだかんだ言って午後からカウンセリング入ってるんだよねー。まぁ、それもやらなくてもいいかなぁって思ったりも…」
「するなよ。はぁ…お前ってなんでこんなんなんだ」
「あ、ヒロト君のカウンセリングの患者さんって吹雪君なんでしょ?大変じゃない?」
ふぶき…?
「北海道ならではの名前だな」
「あー、豪炎寺君…『吹雪』は名字だよ。下は『士郎』」
「あ、そうなのか?」
「うん。で、その吹雪君がまた厄介な子でさぁ…カウンセリングの時間になると病室からいなくなるんだよ」
…それは、ただ単に
「お前が嫌いだからじゃないのか?」
「だろうね。俺も嫌いだからねー」
「んー…でも、ご飯の時もいつもいないし…本当、どこで何をしてるのかな?」
吹雪士郎…なかなかの問題児のようだ。
「んー?豪炎寺君…もしかして、彼のこと気になる?」
ニヤリと嫌な笑みを浮かべながら基山は俺に接近する。近い。
「まぁ、興味はあるな。病室を抜け出すなんて本当にあるんだな。作り話の中だけかと思ってた」
「じゃあ、吹雪君のカウンセリングは君に任せようかなっ」
………はぁ??!!
「ちょっと待て!!俺は心理学なんて学んでなっ…!!」
「代わりに俺が豪炎寺君の時間に入っとくから。これで問題ないよね?」
「問題大ありだ!!大体、俺はコミュニケーション自体苦手だ!!カウンセリングなんて出来るわけないだろ!!」
「国語の実技と思ってやればいいんだよ」
「意味がわからん!!」
ぎゃあぎゃあと俺と基山は口論をヒートアップさせてるそばで、久遠はそれを止めようとしている。
くそっ、なんでこうなった?!どうしてこうなった?!
「わ、私からもお願いして…いいかなっ?豪炎寺君…」
「く、久遠までっ…?!」
久遠まで基山の味方につくのか?!くそっ…勝ち目がない!!
「あ、別にヒロト君がーって訳じゃないよ?ただ、豪炎寺君になら心開いてくれるんじゃないかなって思っただけ…」
「そ、そうなのか?」
「うん。カウンセリングって言うけど、豪炎寺君は豪炎寺君のやり方で彼と接してあげて?その方が彼もわかってくれるはずだから…」
あれ?なんか引き受けたことになってないか?
「あ、もうすぐお昼!患者さんのご飯用意しなきゃ。またね、二人とも」
「カウンセリングは2時から3時まで。せいぜい、追いかけっこを楽しむといいよ」
とりあえず、腹が立ったから基山の頭を殴っといた。
「どうしたもんか…」
昼御飯を食べ終わり、書類の整理などしていたら吹雪とのカウンセリングの時間になろうとしていた。そういえば、俺は吹雪の顔を知らない。特徴も歳も知らない。吹雪の資料に目を通せばよかったと後悔した俺は、ナースステーションに資料を取りに踵を翻した。
「吹雪君っ、みつけたっ!」
久遠の控えめな大声を聞き、声のした方へと廊下の角を曲がった瞬間…何かにぶつかった
「あ、たたた…」
「?…何か当たっ…あ、」
腹筋のあたって、尻餅をついた人物を見て俺は今朝の資料室での記憶が過ぎった
「お前…今朝の…」
「?…え゛っ…」
俺達は…再会してしまった