真・帝国学園が海から出現したあと、円堂君と鬼道君は不動君に連れられて先に学園内に入ってしまった。塔子さんが追いかけようとしたけど、不動君に止められて追うことができなかった。どうしようもなく、僕達は二人が帰ってくるまで待機することになった。
「佐久間と源田が?!」
「あぁ…」
さくまとげんだ?誰のこと?
二人は戻ってきて早々、僕達に説明してくれた。今の状況、影山っていう人の陰謀、佐久間くんと源田君っていう人の現在の状況…。正直、僕は説明してくれたことがイマイチ理解できてない。鉄骨落としたり、神のアクアという水を作ったり…そんな映画みたいなことが本当にあるのだろうか?
「今から真・帝国学園と試合を行う…この試合で二人の目を覚まさせたいんだ…みんな、頼む…力を貸してくれ…!!」
こんな必死な鬼道君…初めて見た…
チームのみんなはそんな鬼道君を見て、さも当然かのように肯定した。
そして試合開始のホイッスルがグラウンドに鳴り響いた。
「佐久間ぁ!!お前が手に入れた力、あいつ見せてやれ!!」
不動君がドリブルで上がっていき、素早く佐久間君にパスを送った。
「鬼道見ろ!!これが…俺の力だ!!!!」
そう言うと、佐久間君はよく鬼道君がやっている皇帝ペンギン2号を打つときのように口笛を吹き、ペンギンを召喚させた。しかし、それは鬼道君の皇帝ペンギン2号とは少し違う技だと雰囲気でわかった。鬼道君も気づいたのか急に声を荒げた。
「やめろぉ!!!それは禁断の技だ!!!」
鬼道君の声を気にせず、佐久間君はその禁断の技…皇帝ペンギン1号でシュートを打った。
「うぁあああああああああっ!!!!」
「佐久間あああ!!!」
佐久間君は悲鳴を上げ、その場にしゃがみ込んでしまった。
そして、佐久間君が打ったボールは円堂君の必殺技を破りゴールに突き刺さった。
「身体中が痛い…こんなシュート初めてだっ…」
「大丈夫か!?円堂!!」
「あぁ、なんとか…」
円堂君は立ち上がり、鬼道君に問いかけた。
「なぁ、鬼道。あの技…禁断ってどういう意味なんだ?」
「あの技は…皇帝ペンギン1号。影山零治が考案したシュート…。恐ろしいほどの威力を持つため全身の筋肉は悲鳴を上げ、激痛が走る。身体にかかる負担がかなり大きいため二度と使用しない禁断の技として封印された…」「そう…だったのか…」
「あの技を打つのは1試合2回が限界。3回目は…」
二度と…サッカーができなくなる…
「うっ…!!」
「円堂…!!お前ももう一度あのシュートをまともに受けたら立っていられなくなる…!!」
「そんな…!!」
「この試合の作戦は決まった…佐久間にボールを渡すな!!」
『鬼道がドリブルで上がっていく!!おおっと、これは?!』
「思い出せ!!これが…本当の皇帝ペンギンだ!!」
「「「皇帝ペンギン2号!!!」」」
鬼道君が召喚したペンギンが蹴ったボールと一緒に飛び、それに一之瀬君と染岡君がシュート。ボールは帝国のゴールへと一直線に進んでいく。
しかし、そこに立ちはだかるのは源田君。両手を前に突き出してそして…
「ビーストファング!!!」
必殺技でゴールを守った…けれど
「ぐっ…ぁああああっ…!!!」
「源田!!!」
「鬼道…まさかあれも…」
「あぁ…皇帝ペンギン1号と共に封印された禁断の技『ビーストファング』…源田にあの技を使わせるな」
「それじゃあ、ゴールできないぞ?!」
「だがっ…!!」
鬼道君が反論しようとしたとき、前半戦終了のホイッスルが鳴り響いた。
「二人のためには…試合を中止した方がいいのかも…」
秋さんの提案には僕も賛成だった。シュートも打たずにボールをキープし続けるなんて…成功するはずがない。一端試合を中止したほうがいい…それが僕の意見だ。
「それは許しません」
みんなが試合中止という一番安全な道を見つけたのに、監督は反対した。
「後半は私の指示に従ってもらうわ。みんな勝つためのプレイをしなさい」
「それじゃあ…佐久間君達は…」
「これは監督命令です。私の目的はエイリア学園を倒すこと。この試合にも負けるわけにはいかない」
「ん?…あれは…」
モニターで休憩中の雷門を見ていた影山は見覚えのある少年に目を付けた。
「…どこかで…。…!!」
影山はその少年の顔が映るよう拡大し、その少年の顔を自らが作った有名選手検索機を使い、少年を探した。
ピックアップされた検索結果は2つ。それを見て影山は口を釣り上げた。
「あぁ、1年前の事故か…くくくっ、面白いことになりそうだ…」