「あ、いたいた」
「…何だよあんた」

イプシロン戦が終わった後、僕は木暮君を探しに行った。あと数十分で漫遊寺中を発つ…その前に木暮君と話がしたかったからだ。

「こんにちは。僕は雷門サッカー部マネージャーの吹雪敦士だよ」

にっこりと笑顔を浮かべて木暮君に接してみるが、彼は警戒心が緩むことはなかった。まぁいいか、とりあえず疑問に思ったことを質問しよう。
僕は木暮君の隣に腰を下ろし、建物の壁に背を預けた。

「君は、人間が好きかい?」
「はぁ?!」
「いいから、答えて?」
「何であんたにそんなこと答えなきゃいけないんだよ」

正解。その答えが正しい。まぁ、初対面の人に普通にこんなこと答える人なんていないと思うけど。

「雷門はどうだった?信用できる?」
「別に」
「でも、喜んでたじゃないか。みんなに誉められて」
「そ、それはっ…!!」

木暮君ら顔を真っ赤に染めて勢い良く立ち上がり、否定の言葉を並べようとしたみたいだけど、言葉が見つからず『あうあう』言っているだけだった。

「まぁ、漫遊寺より…おまえたちのサッカー部の方が…し、しんよーできる…かなっ…」
「そうなんだ」

なんだかんだで答えたね木暮君。もう、僕に心開いてくれたかな?なんて自惚れてた僕が馬鹿だった









「でも、あんたは信用できない」
「え、」

いきなりの発言に僕の頭の中は一時停止。え、なんていった?

「俺、あんたは信用できない。なんか雰囲気というかなんというか…それが他の奴らと違うんだ。あんたが口に出すことは全部嘘かもしれないって思う。ていうか…」
「………」







「存在自体が嘘の塊のように見える」






あぁ…アタリかもね。存在自体が嘘?…いや、正解だよ木暮君。僕は吹雪敦士じゃない…吹雪士郎だ。僕は嘘吐きだ。


「年下だからって舐めるなよ。ガキの俺だって、ちゃんと人のこと見てるんだからな」

そういうと木暮君は去ってしまった。取り残された僕は呆然としながら空を眺めた。あんな風に言われたのは初めてだ。でも、

「でも、おしいなぁ…」




ちっとも僕の心の中に響かなかったよ。


やっぱり、僕は自分を変えることなんてできないんだ。




「ふふっ…あはははははは!!」

僕の吹っ切れたような笑い声は大空に吸い込まれるように消えていった。









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