「帝国が…負けた!?」
FFの地区予選に勝ち抜き、優勝した俺達はFFの出場を果たした。そして今日、戦国伊賀島との試合で一回戦を突破した。昨年優勝していた帝国学園は、予選準優勝でも自動的にFFに出場できるようになっていた。そこで鬼道と約束したのだ…「もう一度戦おう。次はFFの決勝で…!!」と…
「相手はどこだったんだ…!?あの帝国が完敗するなんて…」
「ぜ、世宇子中です…」
聞いたことない学校だ。今回初出場の学校に40年間無敗だった帝国がこんなにあっさりと完敗するなんて信じられなかった。
「お兄ちゃんは足の怪我の大事をとって控えていたんですけど…フィールドに出たときには、すでに他の選手は倒されてて、試合は続行不可能になってたんです…」
「っ…嘘だ!!そんなこと、絶対ありえねぇ!!」
「おい!!円堂!?」
「キャプテン!!」
円堂は猛ダッシュで修練所から飛び出した。
ー…次の日
円堂が鬼道に会って何を話したのかは知らないが、とりあえず落ち着いたみたいだった。
「で、なんでそうなるんだよ?」
「だからさ、ここでこう力がぶつかるだろ?そうすっと…」
「あ、なるほど!!わかった!!おっもしれー」
円堂と一緒に土門から『トライペガサス』という技の説明を聞いていたら視界の端に誰かが走っていくのが見えた。
気になって目で追ってみると音無が校門から出て行ったところだった。
まさかと思い、円堂に『河川敷までドリブルの練習して戻ってくる』と告げ、音無の後を追った。
河川敷で二人の話を盗み聞く。最低なことだとはわかっていたが、鬼道が円堂と話してどうなったのか気になった。しかし、話の内容を聞いていると向上心は見られなかった。
わからない…鬼道は何がしたいんだ?悔しいのはわかる、しかしそれを行動で示した結果がそれなのか?音無にその悔しさを聞いてもらう…それでお前は満足するのか?お前は…その程度なのか…!?
鬼道の行動に苛立った俺は奴に向かって必殺技を使った。気付いていない?そんなの関係無い。俺が…あいつの背中を押してやる…!!
「豪炎寺先輩!?…ち、違うんです!!お兄ちゃんはスパイをしてた訳じゃないんです…!!」
「………」
「本当なんです!!お兄ちゃんは…」
「お兄ちゃん…か…」
大切な妹に自分の感情を押しつけようしていた兄…
『お兄ちゃんっ!!』
夕香…
「鬼道…こい…!!」
「あぁ、望むところだ!!」
そして、俺達はボールを蹴り合った。お前のその気持ち…俺が全部受け止めて蹴り返してやる…!!
「そんなに悔しいか?!鬼道!!」
「あぁ!!悔しいさ!!俺は世宇子を倒したい!!…だが、帝国はFFから敗退した…」
「自分から負けを認めるのか!?」
そして俺は思いっきりファイアトルネードで蹴り返す。ボールは鬼道の横を通り抜け、斜面に凹みをつけて破裂した。
「…一つだけ方法がある」
その言葉に鬼道はピクリと反応する。
「…鬼道、お前は円堂を正面でしか見たことないだろう?あいつに背中を任せてみないか?」
「?!」
そして、鬼道は世宇子中を倒すために雷門中に転校しサッカー部に入部した。
そして、鬼道混じえての初試合にて俺と円堂と鬼道と共に新しい必殺技が誕生した。
これで俺達は鉄壁と言われる千羽山中倒し、世宇子中の試合へと駒を進めたのだった。