パタンとドアを閉めてずぶ濡れの小さなお客さんを抱きかかえた。
「君、泥だらけだね…」
『………』
「うーん…ご飯より先にお風呂に入ろうか」
『にゃー』
そして、僕は制服の着替えずに風呂場に行きお湯を張った。
その間に猫をボディーソープでわしわしと洗う。ボディーソープでよかったのかな?って少し思ったけど、とりあえず綺麗になればそれでいいということで使った。
「気持ちいい?」
『………』
猫はゴロゴロと喉を鳴らしている。気持ちいいみたいだ。
一通り洗い終わったら蛇口を捻ってお湯を出す。そのお湯で猫を洗う。
「さて、僕も入ろうかな」
服を脱ぎ始めていた僕は猫が過剰に反応したなんて気がつかなかった。そして、僕がシャツを脱いでいる時に猫は何を思ってか…僕の顔面に飛びついてきた。
『にーっ』
「ぇ!?うわっちょ、見えなっ…」
「はぁ……」
ちゃぷんと肩までお湯に浸かる。猫も湯船
の中にいる。ちゃんと身体を掴んで支えてるから溺れることはない。まだ子猫みたいだから泳ぐことなんてできないだろうし…
「きもちーねぇー…」
『にー』
改めて子猫を見てみると、とても綺麗な毛色をしていた。泥だらけだったからわからなかったけど、真っ白な毛色だ。
「君、綺麗な毛色だね…キラキラ光ってるみたい…」
『……にぃ』
反応してくれるのが嬉しくて、子猫をぎゅっと抱き寄せた。このまま飼っちゃいたいなぁなんて思ったりもしたが、さすがに大家さんに怒られるだろうと思い諦めた。
お風呂から上がったらドライヤーで毛を乾かしてやる。子猫も最初は怖がっていたけど、今じゃリラックス状態でされるがままに乾かされている。
「わぁっ…君、ふわっふわだねー!!」
『………』
乾かしていくとふわっふわでボリュームのある毛に進化を遂げていた。
「もふもふだぁ…!!」
あまりの気持ちよさに抱き上げて、再びぎゅっと抱きしめた。うん、もふもふーっ
「あっ!!」
『………?』
「ご飯作らなきゃっ!ごめんね、ちょっと待っててね」
子猫にそう言い残して僕は台所にへ向かった。
「…猫ってミルクでいいのかな?」
稀にしか猫に遭遇しない僕は猫についての知識は皆無に等しかった。『猫のご飯はキャットフード』っていうぐらいしか知らない。
「うーん…子猫だからミルクで…いいよね」
なんとか自己解決し、僕はご飯を作り始めた。
「できたっ…!!食べようっと…」
面倒くさいからサラダ中心に作った。最近こればっかりだ。お肉は大好きだけど、調理したら食卓が豪華になってしまって嫌だ。
独りだと思い知らされてるようで悲しくなってくる
だから、いつも冷蔵したまんまでいつの間にか賞味期限が切れていることが多い。
「はい、君はミルクね」
『みゃー』
とぷとぷと小さい容器に真っ白な牛乳を入れる。子猫はまだ入れ終わっていないのにすぐに飲み始めた。
「お腹空いてたんだね…かわいそうに…」
もふもふの頭を撫でてやると尻尾がくねくねと動く。くすぐったいのかな?っと思い、僕も夕飯を食べ始めることにした。
夕飯を食べた後はテレビを観ながらまったりし、ベットに入った。
子猫は僕がベットに入ったあと、自分も入るつもりだったらしく布団に頭を突っ込んでもぞもぞと僕のお腹らへんで動いている。動きが止まったと思い、布団の中を覗いてみると僕のお腹の横で丸くなって寝る体勢に入っていた。
「ふふっ、おやすみ」
そういうと僕はお腹に温もりを感じながら深い眠りについた。