僕の上にあるオレンジは灰色に負けて泣いている…そんな時間帯に僕はエナメルバックを提げて小走りで帰っていた


『あーもー、色々掃除してたらこれだよ…今日荷物が届くっていうのに…』


FFIが終わって、みんなと同様に自分の学校に戻った僕は白恋中のみんなとサッカーをして過ごしていた。毎日がほのぼのとしてて平和過ぎるってぐらい平和だった。

そして、中学3年の春…一通の電話が来た








相手は豪炎寺君。内容は『雷門高校に受験しないか?』とのことだった。


雷門高校に行けば世界を相手に戦った皆とサッカーできるし、毎日みんなと会うこともできる。
でも、ここ…北海道は僕と家族の思い出の地だ。
簡単に離れることはできない














『でも…受験しちゃったんだよね…』

結局、僕は将来のことを考えたうえで結論、雷門高校に入ることにした。でも、将来なんてただの理由なんてわかってる。

本当の理由は…






『豪炎寺君…』

彼に会うためだった



豪炎寺君にはエイリア学園との戦いのときから気になっていた人だ



僕と似ているけど正反対な存在


近く感じるけど遠い存在




僕はまた彼と一緒にサッカーがしたいと思った


だから、雷門高校に受験したんだ






『豪炎寺君から連絡貰ったとき、嬉しかったなんて言えないなぁ…』

なんか恥ずかしいし…


僕は頬が熱くなるのを感じながら雨の中を進んで行った














「?…え?」

傘が雨を弾く音とは別の音が聞こえた。衝撃的な音じゃなくて、柔らかい音だ。

音というより…声?


僕は足を止めて回りを見渡した。雨のせいで視界が悪いけど、見えないことはない。


『どこから声が…?』


キョロキョロと声の主を探してみた。僕の後ろには誰もいないし、横にはただ塀があるだけだ。進行方向である前を向いて目を凝らしてみると






「ぁ…」







電柱の影から一匹の小さな猫が出てきた










僕は恐る恐る猫に近づいてみる。一歩近づくと猫はピタリと鳴くのをやめた。逃げるかな?と思って待ってみても逃げない。もう一歩近づいてみる。猫はピクリとも動かない。その代わり、黄金色の瞳が僕を離さない。

そして、ついに電柱の所まで来た。猫は僕の目の前にいる。猫はよく見ると泥だらけで雨でびしょびしょに濡れている。何日も食べてないのか少し痩せていて、プルプルと震えていた。

「君、一人?」
『………』
「お母さんとお父さんは?」
『………』
「兄弟もいないの?」
『にゃー』
「うん、そっかぁ…」

意味なんて理解できないけど、納得してみた。とりあえず、野良猫かなんかだろうと思ってその場を去ろうとした。

『みゃー』
「………」

再び小走りで家に帰ろうとしたら、さっきまでピクリとも動かなかった猫が僕のあとをついて来るように走りだした。



















「結局、家までついて来ちゃった…」

あの後、全力疾走…はさすがに傘が邪魔でできなかったけど、ついて来る猫を振り切るつもりで走ったけど猫も猛ダッシュで僕のあとをついて来た。

「…ここ、アパートなんだけどなぁ」

確か、動物は禁止だったはず…

まいったなぁ…なんて考えてる僕をそっちのけで猫は僕の部屋のドアを引っ掻く。

「…しょうがないや」






とりあえず、今日1日この猫を泊めることにした。










拾った




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