帝国と雷門の練習試合は帝国の勝ち逃げで終わった
帝国の目的は俺だったらしい。きっと、俺がグラウンドに現れるまであいつらは雷門サッカー部の部員達をさらにボロボロにしていただろう

「ありがとな、豪炎寺!!」
「…今回だけだ」
「え?」

そう、今回だけ

俺はこいつ…円堂守の闘志に力を貸しただけ

サッカーはもうしないと決めたんだ





「…じゃあな」
「え、ぁ…ちょっ!豪炎寺!!」

円堂にユニホームを返し、俺はグラウンドに背を向けて校舎に戻った

























あの試合から数日が経った

雷門中のサッカー部はグラウンドが使えないらしく、河川敷で練習をしていた




「あなたはサッカーしないの?」
「?」

黒の高級車から出てきた雷門中の生徒に問われた

「………関係ないだろ」
「悪いとは思ったけど、あなたの過去を調べさせてもらったわ」
「………」

なんなんだ…この女は…

それはプライバシーの侵害じゃないのか?


「妹さんと…お母様のことが原因なんでしょう…?」
「………」
「否定しないってことは肯定と受け取るわね」



夕香は死んだ

母さんは未だに眠り続けている

じゃあ、俺は?


俺は二人のことを忘れてサッカーを楽しんで毎日を過ごすのか?

そんなのちがう









「あなたがサッカーをやめることは、本当に妹さんとお母様が望んでいることなの?」
「…望んでなくても、俺のせいでこんなことになったんだ。罪は償うべきだろ?」
「自分のせいって…あなた自身が妹さんを殺したわけじゃないのよ?お母様だって、事故の怪我は完治して病気が原因で眠り続けているのでしょう?」

このまま話していても埒があかない
俺は踵を翻し、その場から去ろうとした
















「逃げるの?」

「…何?」


『逃げる』という言葉に反応してしまった



「だってそうじゃない、あなたは何もかもから逃げてる」
「………」
「ちゃんと妹さんとお母さんがあなたのことをどう思うか考えなさい。私は、あなたが毎日サッカーをしている姿を見たいと思ってるんじゃないかしら?」

そんなの、残された者だけの思い込みにすぎない

本当にどう思っているかなんてわかるわけがない


「………」

俺はそのまま河川敷をあとにした















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