洗面所からぬるま湯とタオルをもって戻ってきた俺は、すぐに身体を拭こうとしたが…




「全裸…なんだよな…」


男相手なのに抵抗を覚えてしまった

いや、全裸なのもあるが何しろ中性的な顔立ちだ。なんとなくいたたまれない気分になってくる

「…………はぁ」

一息吐いて、思いっきりめくりあげて布を外した


が、






「は…?」



























そいつの頭には人間なら普通ついてないオプションが付いていた。
頭には大きな耳、腰にはふさふさした尻尾…

「…よくできてるな…」

これはきっとコスプレってやつだろう。絶対そうだ。じゃなきゃ、なんなんだ

作り物にしてはリアルなんてことは胸の中に押し留めて、俺はコスプレ?少年の身体を拭きはじめた。




「ん…ぅ…んん…」
「…………」

現代のおもちゃとは進化したものだ。耳に触れるごとにぴくんっぴくんっと動く。しかも、毛質は髪とおんなじだ。

「……んー…ぅん」
「…………」

ここまで来ると尻尾もどんな仕掛けになっているか気になる…





「よっ」
「ぎゃんっ!!??」

ぎゅむっと思いっきり尻尾を握ってみたら勢いよく身体を起こしたコスプレ少年。え、何故叫ぶ?


「痛っ…痛ぁああああ!!」
「え、ぁ?」
「は、離して!!はなしてぇえええ!!」

涙目でジタバタと暴れ出す。俺はいきなりのことで困惑していた。とりあえず、思いっきり握り締めていた尻尾から手を離した。

「はぁっ…何するんだよ!!千切れるかと思ったよ!!」
「わ、悪い…」

コスプレ少年はもぅっと呟きながら長くふさふさとした尻尾を何度も何度も撫でる。

「……」
「……っは!!」

やっと自分が置かれている状況を理解したようだった。目線を尻尾からゆっくりと俺に向ける。ブルーグレイの瞳とかち合った途端、どこか違和感を覚えた。




…こいつは人間なのか?

いや、人間だ。それ以外に何がある









「ぇ…と…、ここは、どこですか…?」

ぷるぷると震えながら問う少年。それに合わせてか、耳もペッタリとなる。

「…ここは俺の家だ」
「家…?」
「そう、道端で倒れていたお前を俺がここまで運んできたんだ」
「そ、そうなんですか…あ、ありがとうございます…」

そう言うと、少年は立ち上がり窓を開けようとしていた。

「?何してるんだ?」
「いや、僕みたいな存在が親切にさせてもらう権利なんてないので…ここを出て行きます」
「出て行く?その格好でか?」

少年の姿はさっき布を取ったから全裸状態だ。尻尾がくっついてるように見えるのは気のせいだろう。いや、気のせいだ。

「ぁっ…」

自分が全裸だと気づいた瞬間、ぶわっと顔が真っ赤になる。

「布…返してください…」

忘れていた布は俺のすぐ横にあった。が、

「嫌だ。これは汚いから処分する」
「それがないと見つかっちゃうんです。か、返してください…!!」
「見つかる?隠れん坊でもしてるのか?」
「……」

黙ってしまう少年。?遊びじゃないのか…?

「と、とにかく!!返してください!!」
「嫌だ!その前に、お前風呂に入れ!!獣臭いぞ!!」
「ぅえ!?…お、お風呂!?」
「ほら、行くぞ」

そう言うと俺はコイツを抱き上げて風呂場へと向かった。














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